比の不良債権比率高止まり、6月末4.48%に

約13年ぶり高水準の5月末4.49%とほぼ同水準

2021/08/12

 フィリピン中央銀行(BSP)の速報データによると、2021年6月末のフィリピン銀行業界の総融資残高(10兆7,757億ペソ)に占める総不良債権(元利回収遅延債権)比率(NPL比率)は4.48%と前月末の4.49%からほぼ同水準となった。前月末は2008年9月末の4.52%以来、約13年ぶりの高水準となった。5カ月連続での4%台であり、前年同月末の2.57%から1.91%ポイント悪化した。不良債権(NPL)貸倒引当率は82.36%で、前月末から上昇したが前年同月末の109.04%から大幅に低下した。

 新型コロナウイルス感染拡大に伴う経済悪化の影響で、NPL比率は、2020年末に3.61%と前年同月末の2.04%から急悪化、年末ベースで現行基準導入以降の最悪比率へと上昇した。2021年2月以降、5カ月連続4%台で推移している。

 総資産に占める不良資産(NPA=元利回収遅延融資+担保権行使による取得不動産等)比率は2.97%で、前月末から僅かに改善したが前年同月末の2.07%からは0.9%ポイント悪化した。一方、不良資産(NPA)貸倒引当率は72.06%で前月末から上昇したが、前年同月末からは低下した。

 フィリピン銀行業界の不良債権・不良資産比率など(月末値、単位:%)
項目 2020年6月 2021年5月 2021年6月
総融資に占める総不良債権(NPL)比率 2.57 4.49 4.48
NPL貸倒引当比率 109.04 79.96 82.36
総融資残高貸倒引当比率 2.80 3.59 3.69
総資産に占める不良資産(NPA)比率 2.07 2.99 2.97
不良資産(NPA)貸倒引当比率 85.48 69.83 72.06
(出所:BSP資料より作成、2021年8月9日更新版)

 フィリピン銀行業界の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:億ペソ、比率%)

年月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 総融資残高貸倒引当比率
13年末 48,970 1,355 1,609 2.77 118.69 3.29
14年末 58,324 1,348 1,616 2.31 119.83 2.77
15年末 65,273 1,365 1,616 2.09 118.42 2.48
16年末 76,121 1,442 1,728 1.89 119.89 2.27
17年末 88,656 1,530 1,843 1.73 120.44 2.08
18年末 100,779 1,778 1,871 1.76 105.22 1.86
19年末 109,661 2,241 2,075 2.04 92.59 1.89
20年末 108,628 3,917 3,671 3.61 93.73 3.38
21/1月 106,185 3,955 3,712 3.72 93.86 3.50
2月 105,793 4,313 3,736 4.08 86.64 3.53
3月 106,608 4,484 3,733 4.21 83.24 3.50
4月 106,493 4,637 3,778 4.35 81.48 3.55
5月 106,697 4,795 3,834 4.49 79.96 3.59
6月 107,757 4,830 3,978 4.48 82.36 3.69
(出所:BSP資料より作成、2021年8月9日更新版)

 フィリピン銀行業界の自己資本比率(CAR、単位:%)

2020年 2021年
3月末 6月末 9月末 12月末 3月末
単独 単独 単独 単独 単独
15.54 16.40 16.87 16.72 16.90
(出所:BSP資料より作成)