比セブン-イレブン、3千店突破も4億ペソの赤字に

店舗数断トツもコロナ禍で5%減収:21年上半期

2021/08/16

 フィリピンのコンビニエンスストア(コンビニ)首位の比セブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーンストア(ラブアン)ホールディングスが53.863%(2021年6月末現在)を所有するフィリピン セブン社(PSC、証券コード:SEVN)によって運営されている。
 
 PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2010年に500店、2013年に1,000店、2017年1月に2,000店を突破、2020年末には2,978店に達した。2020年前半に3,000店体制という目標は、新型コロナウイルス禍で達成が約1年遅れることになってしまった。
 
 8月13日に公表されたPSCの2021年上半期(1月~6月)事業報告書によると、比セブン-イレブンの2021年6月末の店舗数は3,004店、前年同月末の2,930店から73店、率にして2.5%の純増となった。2020年末の2,978店からは26店の純増となっている。今上半期に72店がオープン、46店が閉鎖した。そして、比ミニストップ(463店)や比ローソン(67店)などとの差を拡大させている。
 
 2021年6月末のセブン-イレブンの店舗数3,004店の地域別内訳は、マニラ首都圏1,003店(2020年末比7店純減)、マニラ首都圏以外のルソン地域1,277店(同26店純増)、セブを中心とするビサヤ地域433店(同1店純増)、ダバオを中心とするミンダナオ地域291店(同6店純増)。また自営店が50%、フランチャイズ店が50%となっている。6月末時点で、総店舗数3004店のうち、60%が24時間営業、35%が昼間営業、5%が臨時休業状態である。
 
 このように、比セブン-イレブンの営業基盤、競争力は強固であるが、2021年上半期は新型コロナウイルス感染再拡大や変異種出現、それに伴うマニラ首都圏等の地域隔離措置再厳格化の影響を被っている。地域隔離措置のもとでもコンビニエンスストアは常に営業継続を要請されているが、来店客数の減少に加え、移動制限により従業員の出勤に支障が生じ、上記のように臨時休業に追い込まれている店舗もある。したがって、2021年上半期は減収赤字決算を強いられた。
 
 PSCの2021年上半期のグループ全売上高は前年同期比(以下同様)7.7%減の222億ペソ、営業収入は4.7%減の213億ペソ、商品売上高は6.5%減の186億ペソにとどまった。最終損益は4億0,290万ペソの赤字となり、前年同期の3億8,970万ペソから赤字が3.4%拡大した。

 フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末もしくは期末)とPSC純利益推移(単位:百万ペソ)
時期 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年  21年1Q 21年上半期
店舗数 1,009 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550 2,864 2,978  2,981 3,004 
純利益 682.6 873.3 1,008.3 1,175.5 1,317.9 1,531.8 1,444.6 -420  -300 -402 
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

 主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)
年・月 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年3月 21年6月 
セブン-イレブン 1,282 1,602 1,995 2,285 2,550 2,864 2,978 2,981 3,004 
ミニストップ 454 519 499 496 499 506 472  464 463 
ファミリーマート 87 120 99 66 69 76 N.A.  N.A. N.A. 
ローソン 0 16 29 31 38 60 65 67 67
(出所:セブン-イレブンとミニストップは発表数値、ファミリーマートはウェブでの表示数、ローソンはウェブ等から推計)