大和精工、比で航空宇宙国際規格(AS9100)認証取得

BOI研修参加18社中での初快挙、有望事業発展の契機に

2021/08/22

  自動車部品、農業機械などを製造する大和精工(本社:大阪府東大阪市)の100%子会社である大和精工フィリピン(DSPC、所在地:ラグナ州ビニャンLIIP)が、航空宇宙産業品質マネジメントシステム国際標準規格(AS9100)認証を取得した。

 AS9100は、米国品質協会(ASQ:American Society for Quality)が発行している品質マネジメントシステム(QMS)規格であり、米国、英国、日本など8カ国のワーキンググループによって開発された航空宇宙業界のサプライチェーンにおける製品品質を確保するためのマネジメントシステム規格である。ISO9001をベースに、航空宇宙産業特有の要求事項(機能、性能、安全性の確保など)が追加されている。

 航空宇宙産業が独自の品質マネジメントシステム規格を制定したのは、リスクやコストが高い製品であること、法律、規制、顧客による厳格な要求事項があること、また安全性が不可欠で高品質が要求されるなどの理由がある。ちなみに、ボーイング社、ゼネラル・エレクトリック社の航空機エンジン部門、ロールスロイス社、プラット・アンド・ホイットニー社などは、納入先にAS9100を要求しており、AS9100の認証取得は今後ますます重要になると見られている。

 フィリピンでは、外資投資誘致のための5つの重点セクターの一つに航空宇宙関連産業が選定されている。そして、ロードマップにおいて、2022年までに25億7,000万ドル相当の航空宇宙部品およびコンポーネントの輸出創出、約1万5,000人を雇用することを目指すと謳っている。主要な投資促進機関である投資委員会(BOI)は、航空宇宙関連産業の発展・強化を図るべく、AS9100認定につながるスキルとガイダンスを地元企業に提供することを目的とした航空宇宙品質管理システム(AQMS)トレーニングプログラムを開始した。このプログラムには18社が参加、このほど、DSPCが18社中初のAS9100認証を取得したのである。

 DSPCは、2017年にAQMSに参加するとともに、フィリピン航空宇宙産業協会(AIAP)に加盟、AIAPの協力を仰ぎながらAS9100認証取得を目指してきた。2020年は新型コロナウイルス感染拡大で認証審査が中止となったが、2021年はオンライン方式による審査が行われ、DSPCの認証取得という快挙が実現した。大和精工グループは、航空宇宙産業に関する日本最大規模の国際的な商談会である「エアロマート名古屋2021」(期間:21年10月12日~14日、会場:セントレアの愛知県国際展示場{Aichi Sky Expo}ホール)に出展予定であるが、AS9100認証取得により、注目度、アピール度が高まることになりそうである。

 DSPCは1995年に設立され、トヨタ、三菱、いすゞなどの著名な自動車メーカー向けのトランスミッション部品等の製造を行ってきている。AS9100認証取得を契機に、航空宇宙産業向けビジネスの機会模索を強めて行くようだ。

 今回のAS9100認証取得に際し、大和精工社長兼DSPC社長の池田圭宏氏は、「BOIとAIAPの航空宇宙関連産業への揺るぎない支援とビジネス機会拡大に対して、心から感謝の意を表したい。航空宇宙品質管理、環境システム、安全衛生基準に関連する基本的な価値観と原則に基づいて、安定性、卓越性、グローバルな競争力という弊社の目標達成に邁進していく方針である」とコメントしている。