セブン銀行、比セブンでのATM設置500店突破

比初の紙幣還流型、年末1千店に、来店者15%増期待

2021/08/25

 セブン銀行(本社:東京都千代田区)のフィリピン子会社Pito AxM Platform社(PAPI、本社:マカティ市)は、今年2月、フィリピン最大手のコンビニエンスストアチェーンであるセブン-イレブンの店舗にATM設置を開始、2月26日に、ATM運営事業を開始した。

 フィリピンでは、経済成長に伴い金融取引が増加し、国策による銀行口座の保有率も上昇するなか、ATM利用ニーズも高まりつつある。セブン銀行は2019年4月にフィリピンでのATM運営事業を推進するため子会社PAPI(資本金8,500万ペソ)を設立した。PAPIは、2020年2月、フィリピンでのセブン‐イレブン運営企業であるフィリピン セブン社(本社:マニラ首都圏マンダルヨン市、証券コード:SEVN)との間で、フィリピン国内のセブン‐イレブン店舗でのATM設置・運営・保守事業等の展開を目的とした業務提携契約を締結した。フィリピン国内では初の紙幣還流型ATMを設置することで、利便性の高いサービス提供を目指していく。

 PAPIはこの契約に沿って、マニラ首都圏中心からフィリピン国内のセブン-イレブン店舗(2021年6月末で3,004店)へのATM設置を順次進めつつある。2021年2月末時点での設置店舗数は11台に過ぎなかったが、現在は500店を突破、2021年末に1,000店と予定している。なお、ATM運営事業開始に伴い、フィリピン最大手銀行BDOユニバンク(本社:マカティ市)とATM提携を開始しており、順次提携銀行を拡大していく予定である。

 フィリピン セブンのホセ・ビクター・パレンティノ社長兼最高経営責任者(CEO)は、「ATM設置による利便性向上で、来店客数10~15%の増加につながると期待される。各店舗は、電子マネー/オンライン決済機能を有しているが、現金決済や現金引き出し需要も大きい」とコメントしている。

 上記のように、比セブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーンストア(ラブアン)ホールディングスが53.863%(2021年6月末現在)を所有するフィリピン セブンによって運営されている。PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。

 1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2010年に500店、2013年に1,000店、2017年1月に2,000店を突破、2020年末には2,978店に達した。2021年6月末の店舗数は3,004店、前年同月末の2,930店から73店、率にして2.5%の純増となった。2020年末の2,978店からは26店の純増となっている。今上半期に72店がオープン、46店が閉鎖した。そして、比ミニストップ(463店)や比ローソン(67店)などとの差を拡大させている。
 
 2021年6月末のセブン-イレブンの店舗数3,004店の地域別内訳は、マニラ首都圏1,003店(2020年末比7店純減)、マニラ首都圏以外のルソン地域1,277店(同26店純増)、セブを中心とするビサヤ地域433店(同1店純増)、ダバオを中心とするミンダナオ地域291店(同6店純増)。また自営店が50%、フランチャイズ店が50%となっている。6月末時点で、総店舗数3004店のうち、60%が24時間営業、35%が昼間営業、5%が臨時休業状態である。

主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)
年・月 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年3月 21年6月 
セブン-イレブン 1,282 1,602 1,995 2,285 2,550 2,864 2,978 2,981 3,004 
ミニストップ 454 519 499 496 499 506 472  464 463 
ファミリーマート 87 120 99 66 69 76 N.A.  N.A. N.A.
ローソン 0 16 29 31 38 60 65 67 67
(出所:セブン-イレブンとミニストップは発表数値、ファミリーマートはウェブでの表示数、ローソンはウェブ等から推計)