フィリピン航空、米国破産法11条を申請

日本の民事再生法に相当、事業は継続

2021/09/04

 経営不振のフィリピン航空が、9月3日(米国時間)、ニューヨーク南部地区において、米国破産法11条(チャプター11、日本の民事再生法に相当)を申請した。

 米連邦破産法11条においては、申請後に裁判所の命令で債権の取り立てが停止され、裁判所によって承認された再建計画のもとで経営再建が図られる。清算型とは異なり事業を継続しながらの再建スキームであり、債権者の合意により短期間での再建が可能となり、雇用への影響も軽減される。

 米国での報道などによると、フィリピン航空は、今回のチャプター11による再建において、輸送能力25%削減などによる20億米ドルの借入金削減、既存株主からの5億0,500万米ドルの出融資、新規投資家からの1億5,000万米ドルの出資などを想定しているとのことである。

 なお、新型コロナウイルス感染拡大やその対策としての外出・移動制限などにより、フィリピン航空の業績は2020年から急悪化している。フィリピン航空の持株会社であるPALホールディングス(証券コード:PAL)の年次報告書によると、PALの2020年の営業収入は前年比64%減の553億ペソ、帰属純損失(赤字)は同7倍の719億ペソへと悪化した。

 PALの2021年上半期(1月~6月)の営業収入は前年同期比51%減の180億ペソ。人員削減などのコスト抑制策を強化したことで、営業費用も49%減の268億ペソへと削減された。しかし、費用が収入を大きく上回ったことで、帰属損失額は166億ペソと依然高水準であった。

 なお、PALが6月17日に提出した上記の2020年の年次報告書に記載されている2020年財務諸表に対して、PALの監査を担当するSyCip、Gorres、Velayo&Co(シシップ)は、「監査意見不表明(Disclaimer of opinion)」とした。シシップは、PALの2020年財務諸表に関して、監査意見を表明するのに十分な適切な監査証拠を入手することが不可能であったことで、「意見不表明」と表記したとのことである。