消費関連企業、コロナ禍の巣籠もりで業績明暗
上半期、外食や小売は苦戦、食品一部が大幅増益
2021/09/07
主要消費関連企業の2021年上半期(1月~6月)の決算発表が出揃った。多くの企業が新型コロナウイルス感染再拡大やそれに伴う地域隔離措置再強化の影響を受けた。
また、外食制限、家庭内食事の増加というライフスタイルの変化により明暗が大きく分かれた。巣籠り需要拡大を背景に大幅増益決算となった企業もある。個別は既にレポート済みであり詳細は省くが、今上半期の消費関連企業の動向は下記のとおり。
表1.主要食品・飲料メーカーの2021年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:各社の2021年上半期報告書などより作成)
表2.主な外食産業の2021年上半期(1H)業績比較(単位:百万ペソ、純損益は帰属ベース)
(出所:各社の2021年上半期報告書などより作成)
表3.PSE上場の小売企業とSMリテールの2021年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
(出所:各社の2021年上半期事業報告書などより作成)
<食品・種類・飲料メーカー>
家庭での食事や調理機会が増加したことで、内食用調理食材も提供するサンミゲルフーズ&ビバレッジ(証券コード:FB)、ゴコンウェイ財閥傘下のユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)という大手食品企業は増収増益となった。特に、カップヌードルなど即席麺事業を展開する日清食品グループとURCとの合弁企業であるニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC)の業績は続伸した。巣籠もり需要拡大の恩恵を享受した代表例といえよう。ツナ缶詰大手のセンチュリー パシフィックフーズ(証券コード:CNPF)も二桁増収増益ペースを継続した。
キリンホールディングスが約48%出資するサンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の販売数量は15%増、27%増収89%増益と回復した。新型コロナウイルス感染再拡大、飲食店での定員規制、一時的な店内飲食禁止など依然抑制要因も多いが、低調であった前年同期からは急回復している。一方、洋酒のヒネブラサンミゲル(証券コード:GSMI)やエンペラドール(証券コード:EMP)は、巣篭り需要謳歌もあって、大幅増益となった。
<外食企業>
非常に不振であった前年同期比では回復(黒字転換)という結果となったが、コロナウイルス感染再拡大対策としての、飲食店での定員規制、一時的な店内飲食禁止などが響き、回復ピッチは鈍い。ファーストフード・チェーン最大手のジョリビー フーズ(証券コード:JFC)は黒字転換したが、その帰属純利益は11億ペソと低水準。マクドナルド フィリピンも4,900万ペソと低水準。
<小売企業>
食料品や必需品の比率が高く営業制限の影響がほとんどなかったピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)の帰属純利益は前年同期比(以下同様)17.3%増の40億ペソに達した。
一方、百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高い企業は苦戦が続いた。ルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)、メトロリテールストアーズグループ(証券コード:MRSGI)は赤字を余儀なくされた。業界最大手の総合小売企業であるSMリテールの純利益は約6.9倍の36億ペソへと急増したが、極度に不振であった前年同期の反動であり、パンデミック発生前の2019年上半期の帰属純利益57億ペソには遠く及ばない。
コンビニエンスストアは、最厳格な地域隔離措置下でも営業継続を要請される業態ではあるが、移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、店内での飲食禁止などが響き厳しい決算となった。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)も、収入が4.7%減の213億ペソ、帰属純損失額(赤字)が3.4%増の4億ペソと不振であった。
また、外食制限、家庭内食事の増加というライフスタイルの変化により明暗が大きく分かれた。巣籠り需要拡大を背景に大幅増益決算となった企業もある。個別は既にレポート済みであり詳細は省くが、今上半期の消費関連企業の動向は下記のとおり。
表1.主要食品・飲料メーカーの2021年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 | 業種 | 収入 | 増収率 | 帰属純利益 | 増益率 |
サンミゲルフーズ&ビバレッジ | 総合飲食料 | 146,791 | 19.5% | 11,815 | 182.0% |
ユニバーサル・ロビーナ | 総合飲食料 | 68,529 | 1.7% | 8,055 | 45.7% |
ニッシンURC | 即席麺 | 3,818 | 2.0% | 533 | 11.0% |
センチュリー・パシフィックフーズ | 総合食品 | 27,112 | 7.8% | 2,716 | 21.0% |
RFM | 総合食品 | 7,224 | 1.8% | 688 | 12.6% |
エンペラドール | 洋酒 | 24,819 | 17.9% | 5,084 | 52.8% |
アクセリウム | ココナッツ製品 | 3,104 | 30.0% | 318 | 56.9% |
表2.主な外食産業の2021年上半期(1H)業績比較(単位:百万ペソ、純損益は帰属ベース)
企業名 | 店舗数(国内) | 収入 | 増収率 | 純損益 | 増益率 | 20年1H純損益 |
ジョリビーフーズ | 5,816店(3,192店) | 72,772 | 26.2% | 1,128 | 黒字転換 | -11,963 |
マクドナルド フィリピン | 653店(653店) | 11,828 | 22.0% | 49 | 黒字転換 | -709 |
Max'sグループ | 657店(597店) | 3,621 | -4.4% | 391 | 黒字転換 | -600 |
シェーキ―ズ ピザ アジア | 295店(295店) | 2,551 | -7.6% | 14 | 黒字転換 | -290 |
フルータス | 約1,000店 | 524 | 13.4% | -9 | -30.1% | -12 |
表3.PSE上場の小売企業とSMリテールの2021年上半期業績比較(単位:百万ペソ)
企業名 | 収入 | 増収率 | 帰属純利益 | 増益率 | 純利益率 |
ピュアゴールド プライスクラブ | 77,744 | -7.0% | 3,986 | 17.3% | 5.1% |
ロビンソンズ リテール ホールディングス | 71,858 | -5.5% | 1,669 | 1.6% | 2.3% |
フィリピン・セブン(比セブン-イレブン) | 21,271 | -4.7% | -403 | 赤字3.4%増 | -1.9% |
メトロ リテールストアーズ グループ | 13,884 | -9.3% | -182 | 赤字2.1倍 | -1.3% |
ウイルコン デポ | 13,559 | 47.8% | 1,247 | 254.3% | 9.2% |
オールホーム | 6,724 | 38.5% | 641 | 132.5% | 9.5% |
SSIグループ | 6,434 | 27.7% | -174 | 赤字63.5%減 | -2.7% |
メリーマート・コンシューマー | 1,845 | 12.3% | 16 | 20.1% | 0.9% |
SMリテール(親会社SMICが上場) | 138,200 | -0.7% | 3,600 | 589.7% | 2.6% |
<食品・種類・飲料メーカー>
家庭での食事や調理機会が増加したことで、内食用調理食材も提供するサンミゲルフーズ&ビバレッジ(証券コード:FB)、ゴコンウェイ財閥傘下のユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)という大手食品企業は増収増益となった。特に、カップヌードルなど即席麺事業を展開する日清食品グループとURCとの合弁企業であるニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC)の業績は続伸した。巣籠もり需要拡大の恩恵を享受した代表例といえよう。ツナ缶詰大手のセンチュリー パシフィックフーズ(証券コード:CNPF)も二桁増収増益ペースを継続した。
キリンホールディングスが約48%出資するサンミゲル ブリュワリー(SMB、サンミゲルビール)の販売数量は15%増、27%増収89%増益と回復した。新型コロナウイルス感染再拡大、飲食店での定員規制、一時的な店内飲食禁止など依然抑制要因も多いが、低調であった前年同期からは急回復している。一方、洋酒のヒネブラサンミゲル(証券コード:GSMI)やエンペラドール(証券コード:EMP)は、巣篭り需要謳歌もあって、大幅増益となった。
<外食企業>
非常に不振であった前年同期比では回復(黒字転換)という結果となったが、コロナウイルス感染再拡大対策としての、飲食店での定員規制、一時的な店内飲食禁止などが響き、回復ピッチは鈍い。ファーストフード・チェーン最大手のジョリビー フーズ(証券コード:JFC)は黒字転換したが、その帰属純利益は11億ペソと低水準。マクドナルド フィリピンも4,900万ペソと低水準。
<小売企業>
食料品や必需品の比率が高く営業制限の影響がほとんどなかったピュアゴールド プライスクラブ(ピュアゴールド、証券コード:PGOLD)の帰属純利益は前年同期比(以下同様)17.3%増の40億ペソに達した。
一方、百貨店や高級品・贅沢品の売上比率の高い企業は苦戦が続いた。ルスタンで知られるSSIグループ(証券コード:SSI)、メトロリテールストアーズグループ(証券コード:MRSGI)は赤字を余儀なくされた。業界最大手の総合小売企業であるSMリテールの純利益は約6.9倍の36億ペソへと急増したが、極度に不振であった前年同期の反動であり、パンデミック発生前の2019年上半期の帰属純利益57億ペソには遠く及ばない。
コンビニエンスストアは、最厳格な地域隔離措置下でも営業継続を要請される業態ではあるが、移動の制限で従業員出勤や配送面での困難さという問題で一時休業を余儀なくされる店舗が出たこと、店内での飲食禁止などが響き厳しい決算となった。業界断トツのセブン-イレブンを展開するフィリピン セブン(証券コード:SEVN)も、収入が4.7%減の213億ペソ、帰属純損失額(赤字)が3.4%増の4億ペソと不振であった。
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