東洋建設、パシグ・マリキナ河川改修で269億円受注

単独事業で172億円、清水建設とのJVが194億円

2021/09/12

  東洋建設は、9月10日、「フィリピン公共事業道路省が発注するパシグ・マリキナ川河川改修事業(フェーズⅣ)のうち、工区パッケージ2を単独で、パッケージ3を東洋建設が幹事会社を務める共同企業体(清水建設とのJV)で受注、2021年7月19日に契約署名式が執り行われた」と発表した。

 東洋建設はこれまで同事業のフェーズⅡ、フェーズⅢを施工しているので、今回で3フェーズ連続の受注となった。受注金額はパッケージ2が約172億円、パッケージ3が東洋建設分約97億円(JV受注総額約194億円)の合計約269億円となった。なお、同工事は日本国政府開発援助(ODA)の有償資金協力(円借款)のうち、本邦技術活用条件(STEP)として実施される。

 東洋建設がフェーズⅡ、フェーズⅢで護岸整備及び河道浚渫を行ったことにより、周辺地域の洪水被害は大幅に低減され、また川に親しむ護岸構造になっている整備部分は、地域住民の憩いの場となっている。さらに周辺には公園や商業施設、超高層住宅等も次々と整備され、本プロジェクトが地域の発展に大きく貢献していることが伺われる。

 今回受注したフェーズⅣは、その上流部の整備となり、下流部同様,氾濫防止のための嵩上げを含む護岸の整備及び流下能力を向上させるための河道浚渫を行うことにより、周辺地区の洪水被害を低減させる効果がある。周辺から川に流れ込む雨水や生活排水についても、同時に行われる排水溝等の整備により環境の改善が見込まれる。また、本工事エリアについても、下流部同様地域の経済発展に大きく寄与することが期待されている。

 東洋建設は、自然災害が多い国の一つであるフィリピンに1973年に進出して以来、様々な事業に参画している。大規模な河川工事分野では、アグノ川流域緊急復旧工事(ルソン島中部)、オルモック市洪水対策工事(レイテ島)、ラオアグ川治水・防砂工事(ルソン島北部)、パシグ・マリキナ河川改修工事フェーズⅡ、フェーズⅢ(マニラ首都圏)、カガヤンデオロ洪水対策工事(ミンダナオ島北部)等、数多くの施工実績を積上げてきた。

 1976年4月には、フィリピンの大手建設業者であるCDCP社とC&A社との共同出資で、CCTコンストラクターズ社(CCT社)を設立した。CCT社は、主に日系企業及び欧米系企業を中心として、工場や倉庫など277件の施工実績を有する。建設業ライセンスはAAA(トリプルA)、従業員は、日本人職員11名、現地職員257名、顧客数142社(2021年3月末現在)となっている。工場・倉庫建設部門の売上高は2019年に日系1位となった。

 東洋建設は、2020年度を初年度とする3カ年の中期経営計画「Being a resilient company」において、海外事業への更なる展開、インフラ整備事業への更なる参画に向けて、事業拡充を目指すと掲げている。3年後には、海外4拠点(フィリピン、ミャンマー、インドネシア、ケニア)による事業体制を確⽴し、各拠点が補完し合える安定した事業展開を行い、3年間の受注高700億円、営業利益28億円を目指すとしている。そして、海外建設事業においては、フィリピンを最重要拠点国として位置付けている。

 約半世紀近いフィリピンでの事業は、東洋にとってかけがえのない財産となっている。これからも地域に根差した事業展開を進め、保有する技術の移転や人財育成などを行い、フィリピンの社会・経済発展に寄与して行く方針である。