ADB初の海洋保全債券、第一生命等が全額取得

明治安田生命と3億米ドル相当、教育債取得実績も

2021/09/14

 アジア開発銀行(ADB)駐日代表事務所によると、ADBは9月10日、アジア・太平洋地域の海洋関連プロジェクトへの融資を目的とした、オーストラリア(豪)ドルおよびニュージーランド(NZ)ドル建てのデュアルトランシェ・ブルーボンドを初めて発行した。

 2億800万豪ドル(約1億5100万米ドル)の15年債は、第一生命保険が購入し、シティグループ・グローバル・マーケッツ・リミテッドがそのアレンジを担当した。2億1,700万NZドル(約1億5100万米ドル)の10年債は、明治安田生命保険が購入し、クレディ・アグリコル・CIBがそのアレンジを担当した。この債券は、ADBの拡大されたグリーン&ブルーボンド・フレームワークの下で発行された。

 これらのブルーボンドは、2019年に発表されたADBの海洋保全と持続可能なブルーエコノミーのための行動計画に沿ったもので、2024年までに少なくとも50億米ドルの投融資と技術協力を提供することにより、アジア・太平洋地域における持続可能な投資を促すことを目的としている。

 ADBのブルーボンドは、再現可能性や拡張性が確保されており、アジア・太平洋地域の海洋経済の発展を目的としている。その収益は、生態系の回復、天然資源管理、持続可能な漁業・養殖業、海岸・沿岸域における汚染の削減、循環型経済、海洋再生可能エネルギー、環境に優しい港づくりや海洋輸送を通じて、海洋保全を増進するためのプロジェクトに充てられる。同時に、これらの投資は、将来に向けた持続可能な経済成長と雇用の創出を後押しする。
 
 開発途上加盟国は、ADBのアプローチを採用し、ソブリン債としてブルーボンドを発行することにより、海洋資源の保護や急務である経済の活性化を促すのに不可欠な海洋保全プロジェクトのための資金を獲得できる。

 なお、ADBは、今年2月アジア・太平洋地域における技術・職業教育訓練を含む教育セクター関連事業に資金支援をするため、教育債(エデュケーション・ボンド)を初めて発行した。新型コロナウイルスのパンデミックにより教育制度に深刻な影響が及んでいる開発途上加盟国への支援を後押しするものであった。この10年物豪ドル建て教育債も、第一生命保険が全額7,500万豪ドル(約60億円)を購入した。