インスタリム、世界初の3D義足事業を比で全国展開

三菱UFJキャピタル等から2.4億円調達、インドにも展開へ

2021/10/01

 3D-CAD、3Dプリンティングおよび機械学習(AI)技術を活用して低価格な3Dプリント義肢装具をフィリピン等で製造販売するインスタリム(本社:東京都千代田区)は、9月30日、「インクルージョン・ジャパン、Mistletoe Japan、慶應イノベーション・イニシアティブ、三菱UFJキャピタル、およびディープコアの計5社を引受先とする第三者割当増資を実施し、シリーズAラウンドとなる総額2億4,000万円の資金調達を完了した」と発表した。

 その発表によると、インスタリムは今回の資金調達を通じて、フィリピン事業の全国展開や、更なる海外事業展開の実現を目指すとともに、Afterコロナに対応した完全非対面での義足製造販売システムの開発を進めていく。

 インスタリムは、従来の約10分の1以下となる低価格・短納期の3Dプリント義足をフィリピンで製造販売する日本発のスタートアップである。義足は、一人一人の体に合わせて医学的に最適な形状を手作りする必要があるため、義肢装具士の医学知識と技術力が必要で、通常の品質のものでも1本あたり30~100万円と高価であり、また納期に通常1ヶ月程度を要していた。

 そのため、糖尿病性壊疽などの血管疾患や交通事故などで脚の一部を無くしたにもかかわらず義足を購入できない人が、未だ世界に4,000万人以上も存在すると言われている。特に障害者への社会的支援が不十分な開発途上国においては、義足を購入できない人は仕事に就くなどの社会参画が著しく困難となっており、深刻な社会課題となっている。

 このような社会課題を解決するために、インスタリムは3DプリンティングおよびAI技術を活用した新しいデジタル製造ソリューションを開発し、従来の約10分の1水準となる低価格・短納期の3Dプリント義足を、2019年よりフィリピンにて製造販売している。新型コロナウイルスの影響で現地の移動制限や経済状態悪化が続く中でも、すでに400名以上のユーザーから好評を得ており、1,600名以上がインスタリムの義足提供を待つ状態である。

<今回の資金調達の目的>
 今回の資金調達、および先般採択された経済産業省による事業再構築補助金(卒業枠:1.0億円)や新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO)による課題解決型福祉用具実用化開発支援事業(0.5億円)などの各種支援を通じて、以下のような事業展開を行う予定である。

1)フィリピン事業の全国展開の実現
現在首都圏に限定されている販売網を地方都市において複数拠点化。また、現地製造販売体制の強化やマーケティング施策を通じたグロースの実現
2)サブスクリプション販売の開始
より多くの層が義足を購入して仕事に就けるように、初期出費を抑えた新販売形式の開始
3)更なる海外展開
フィリピンで検証した事業モデルに基づき、次なる展開国(インドを予定)で事業開始
4)完全非対面での義足製造販売システムの開発完了・実装
測定、試着、製品提供までを非対面・リモートで対応する装置やアプリなどの開発完了と実装

 インスタリムは、「必要とするすべての人が、義肢装具を手に入れられる世界をつくる」というビジョンの実現に向けて、日本発のグローバルスタートアップ、SDGsスタートアップとして上記社会課題の解決を目指していく。