JBIC、比累計出融資承諾額1兆8千億円に

2020年度は126億円、比三自動車などへ

2021/10/14

 このほど国際協力銀行(JBIC)は、2020年度(2020年4月~2021年3月)の概況などを記した「年次報告書2021」を発表した。

 それによると2020年度の出融資・保証承諾実績は、前年度比54.8%増の約2兆5,993億円に達した。2021年3月末時点の残高は、出融資残高が約13兆9,065億円、保証残高は約1兆8,383億円、合計約15兆7,448億円となった。

 2020年は、新型コロナウイルス感染症が拡大し、国内外経済に与える影響が懸念された。そこで、2020年4月に、日本企業の海外展開支援および質の高いインフラ整備を幅広く支援することを目的とした「成長投資ファシリティ」の下に、「新型コロナ危機対応緊急ウインドウ」を新たに創設した。また、「国民の命と暮らしを守る安心と希望のための総合経済対策」(2020年12月8日閣議決定)および「2050年カーボンニュートラルに伴うグリーン成長戦略」(経済産業省策定、2020年12月25日成長戦略会議報告)の一環として、2021年1月に、「成長投資ファシリティ」を再編・強化した「ポストコロナ成長ファシリティ」を創設し、ポストコロナに向けた経済構造の転換・好循環の実現を図るため、日本企業による脱炭素社会に向けた質の高いインフラの海外展開やサプライチェーン強靱化の支援に取り組んだ。

 2020年度の東南アジアでの出融資承諾実績は1,654億円(89件)、そのうち、フィリピン案件は126億円(5件)となった。2020年3月末時点の東南アジアでの出融資・保証残高は約1兆9,013億円(553件)、フィリピンでは1,368億円(26件)となっている。
 
 2020年度のフィリピン業務実績事例としては、「日本企業の自動車の製造・販売事業に対する融資~日本の自動車メーカーの海外事業展開を支援~」が以下のように紹介されている。
 
 『JBICは、三菱自動車工業のフィリピン法人Mitsubishi Motors Philippines Corporation(MMPC)との間で、貸付契約を締結した(注:協調融資、JBIC融資金額1億1,000万米ドル)。本件は、MMPCがフィリピンにおいて実施する自動車の製造・販売事業に必要な資金を融資するものである。三菱自動車は、中期経営計画(2020~2022)において、同社が強みを持つASEAN地域に経営資源を集中し、販売ネットワークおよび生産体制の強化ならびに同地域向けの商品開発の強化を通じたシェアの維持・拡大を企図している。この融資は、三菱自動車のASEAN地域における事業戦略上重要なフィリピンでの海外事業を支援するものであり、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものである。』

 なお、JBICのフィリピン案件の累計出融資承諾額は1兆8,012億円(840件)。東南アジアではインドネシアの6兆5,821億円(1,626件)、タイの2兆9,067億円(2,715件)に次ぐ3位となっている。