世界年金番付(43カ国・地域)、比41位へと続落

健全性で連続最下位、総合最下位タイ、日本36位

2021/10/21

 国際的な年金・退職制度関連コンサルティング企業である米国マーサーは、10月19日、年金制度ランキング「マーサーCFA協会グローバル年金指数(グローバル年金指数、旧名称:メルボルン・マーサー・グローバル年金指数)ランキング」の2021年度版(13回目)を発表した。

 グローバル年金指数は、世界各国の年金制度のベンチマークとして、各制度の弱点を浮き彫りにし、より充実した、持続可能な年金給付を提供するために改革すべき領域を示している。グローバル年金指数は、投資プロフェッショナルの世界的団体であるCFA協会がスポンサーを務め、モナッシュ金融研究センター(MCFS)とプロフェッショナルサービスを提供するマーサーが共同で実施する研究プロジェクトである。

 各国の制度の総合指数は、「十分性」、「持続性」、「健全性」に大別される50以上の項目から構成され、この3つのサブ指数を加重平均して算出している(満点は100点)。2021年度版は、世界の人口のほぼ3分の2を網羅する43カ国・地域の年金制度を比較検証している。2021年度版で新たに調査対象に加えられたのはアイスランド、台湾、アラブ首長国連邦(UAE)、ウルグアイであった。

 新型コロナウイルス感染拡大の影響により退職後の生活の不安定さが一段と増した2021年度において、年金制度総合トップとなったのは新顔のアイスランド(84.2点)。以下、2位オランダ(83.5点)、3位デンマーク(82点)、4位イスラエル(77.1点)、5位ノルウェー(75.1点)と続く。43カ国・地域の平均は61点、アジアの平均点は52.2点、日本(49.8点)は世界36位に甘んじている。

 総合で最下位の43位はタイ(40.6点)、42位がアルゼンチン(41.5点)、41位がフィリピン(42.7点)で、これらがワースト3を形成している。フィリピンは2019年度から調査対象に加えられた。その2019年度は43.7点で34位(37カ国・地域対象)、2020年度は43点で36位(39カ国・地域対象)であった。調査対象数が異なってはいるが、フィリピンは低位グループの中で、点数、順位とも一段と低下している。

 2021年度の各サブ指数における最低数値は、十分性ではインド(33.5点)、持続性ではイタリア(21.3点)、健全性ではフィリピン(35点)だった。フィリピンは、健全性で3年連続で最下位、十分性でも38.9点で、インド、タイに続く低さであった。ただ、持続性では52.5点で、平均の51.7点を上回った。