9カ月間決算発表開始、アヤラ系BPIは2%増益

貸倒引当50%減少が寄与、総資産2兆3千億ペソに

2021/10/22

 2021年第3四半期(7月~9月)及び9カ月間(1月~9月)の決算発表シーズン入りとなった。銀行業界では、まず、アヤラ財閥傘下の有力拡大商業銀行バンク オブ ザ フィリピン アイランズ(証券コード:BPI)が、10月21日、決算速報を発表した。
 
 BPIの2021年9カ月間の総収入は前年同期比(以下同様)6%減の716億ペソにとどまった。主力の純金利収入は5.6%減の512億ペソへと減少した。純金利率は3.31%で前年同期の3.51%から20ベイシスポイント低下した。一方、非金利収入も売買益減少が響き7%減の205億ペソと伸び悩んだ。

 営業費用はデジタル化投資などで3.5%増の365億ペソに達したが、貸し倒れ引当が49.9%減の103億ペソに収まったことなどで純利益は1.8%増の175億ペソとなった。9カ月間では小幅増益であったが、第2四半期の純利益は28.8%増の68億ペソと大幅増益で、四半期ベースでは新型コロナウイルス禍以降での最高益となった。そして、第3四半期の純利益も57億ペソに達した。

 2021年9月末の総融資残高は0.9%増の1兆4,000億ペソ。受け入れ預金残高は6.6%減の1兆8,000億ペソ。そのなかで、コストの低い当座預金・貯蓄口座(CASA)預金残高は12%増加、全預金残高に占める比率は80.1%に達した。預貸率(LDR)は77.2%となった。
 
 総資産は3.3%増の2兆3,000億ペソ、株主資本は2,918億ペソへと増加した。不良債権(NPL)比率は2.73%で、前年同月末の2.98%から低下した。NPL貸し倒れ引当率は130.72%で同じく100.45%から上昇した。年率換算の株主資本利益率(ROE)は8.3%、総資産利益率(ROA)は1.1%。バーゼルⅢ基準でのリスク加味自己資本比率(CAR)は17.69%で中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本(CET1)比率も16.81%と良好で中央銀行の最低基準大幅に上回っている。

 なお、BPIは1851年に創立されたフィリピン最古の銀行であり、今年創業170周年を迎えた。170周年の今年、100%子会社である貯蓄銀行BPIファミリー セービングズ バンク(BFSB)を吸収合併、規模の拡大、効率化、シナジー効果、株主利益の最大化を図りつつある。合併後は、BPIが存続会社となる。BFSBはフィリピン最大級の貯蓄銀行であり、その資産は2,870億ペソ、受入預金残高は2,350億ペソ、融資残高は2,270億ペソ。行員数は約3,000人である。