10月の株価1.5%続伸、10カ月間では1.2%下落
年初から不動産株14.9%下落、通信株は大幅上昇
2021/11/03
フィリピンの代表的株価指数であるフィリピン証券取引所指数(PSEi)の2021年10月末終値は7,054.70ポイントとなり、前月末と比べて1.46%上昇した。月間ベースで3カ月連続の上昇となった。10月の終値ベースで最高値は21日の7,311.72ポイント、最安値は8日の6,906.86ポイントだった。
10月は、フィリピンでの新型コロナワクチン接種進展や、7月まで売り越し一辺倒であった外国人投資家の買い越し日が増えたこと、首都圏のコロナ防疫措置(警戒レベル3)の11月からの緩和期待などで月間ベースで上昇となった。一時は、昨年末終値を上回るに至った。しかし、首都圏の警戒レベル3継続と発表された最終日(9月29日)に1.43%下落したことで、月間上昇率は小幅にとどまった。そのなかで、出遅れ感が目立っていた金融株が9.1%上昇したことが目立った。同じく出遅れの不動産株、工業株も堅調な動きを見せた。
PSEiは、10カ月間では1.19%の下落となった。9月までの新型コロナウイルス感染拡大やワクチン接種の遅れ、7月までの外国人投資家の売り越一辺倒、主要市場で上昇の牽引役となっている有力IT株やバイオ関連株がPSEには上場していないことなどによる手掛かり難、米国金融政策や中国不動産大手の債務問題に関する不透明感などで、上値が重く戻りの鈍い相場展開となっている。
10カ月間の大分類セクター別の指数で前年末から上昇したのは、サービス業株(+24.77%)、工業株(+15.31%)、鉱業・石油株(+5.96%)、金融株(+5.90%)。一方、低下したのは、不動産株(-14.89%)、持株会社株(-5.67%)だった。米国利上げ時期前倒し懸念等により、金利敏感株の代表である不動産株の下落率が大きくなっている。一方、デジタル化で通信企業の株式が大幅上昇したことでサービス業株は強い動きとなった。
10カ月間の1日当たり平均売買額は約86億2千万ペソで、前年同期の67億ペソから29%増加した。外国人投資家の売り越し額は873億6千万ペソと高水準であるが、前年同期の1,115億4千万ペソからは22%縮小した。外国人の売買額シェアは34%で、前年同期の46%から縮小した。
PSE時価総額は前年同月末比比39%増の19兆6,905億ペソ、そのうち国内企業時価総額は40%増の16兆1,796億ペソであった。なおPSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は22.72倍で、前年同月末の19.08倍から上昇したが、前年末の24.88倍からは低下した。
PSE指数(PSEi)の推移(年末・月末値)
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成)
フィリピン証券取引所の推移(年末・年間値)
(出所:フィリピン証券取引所資料より作成、株価収益率はPSE基準算出数値)
10月は、フィリピンでの新型コロナワクチン接種進展や、7月まで売り越し一辺倒であった外国人投資家の買い越し日が増えたこと、首都圏のコロナ防疫措置(警戒レベル3)の11月からの緩和期待などで月間ベースで上昇となった。一時は、昨年末終値を上回るに至った。しかし、首都圏の警戒レベル3継続と発表された最終日(9月29日)に1.43%下落したことで、月間上昇率は小幅にとどまった。そのなかで、出遅れ感が目立っていた金融株が9.1%上昇したことが目立った。同じく出遅れの不動産株、工業株も堅調な動きを見せた。
PSEiは、10カ月間では1.19%の下落となった。9月までの新型コロナウイルス感染拡大やワクチン接種の遅れ、7月までの外国人投資家の売り越一辺倒、主要市場で上昇の牽引役となっている有力IT株やバイオ関連株がPSEには上場していないことなどによる手掛かり難、米国金融政策や中国不動産大手の債務問題に関する不透明感などで、上値が重く戻りの鈍い相場展開となっている。
10カ月間の大分類セクター別の指数で前年末から上昇したのは、サービス業株(+24.77%)、工業株(+15.31%)、鉱業・石油株(+5.96%)、金融株(+5.90%)。一方、低下したのは、不動産株(-14.89%)、持株会社株(-5.67%)だった。米国利上げ時期前倒し懸念等により、金利敏感株の代表である不動産株の下落率が大きくなっている。一方、デジタル化で通信企業の株式が大幅上昇したことでサービス業株は強い動きとなった。
10カ月間の1日当たり平均売買額は約86億2千万ペソで、前年同期の67億ペソから29%増加した。外国人投資家の売り越し額は873億6千万ペソと高水準であるが、前年同期の1,115億4千万ペソからは22%縮小した。外国人の売買額シェアは34%で、前年同期の46%から縮小した。
PSE時価総額は前年同月末比比39%増の19兆6,905億ペソ、そのうち国内企業時価総額は40%増の16兆1,796億ペソであった。なおPSE算出のPSE取引所指数ベースの株価収益率(PER)は22.72倍で、前年同月末の19.08倍から上昇したが、前年末の24.88倍からは低下した。
PSE指数(PSEi)の推移(年末・月末値)
時期 | 年末・月末値 | 上昇率 |
2012年 | 5,812.73ポイント | 32.95% |
2013年 | 5,889.83ポイント | 1.33% |
2014年 | 7,230.57ポイント | 22.76% |
2015年 | 6,952.08ポイント | -3.85% |
2016年 | 6,840.64ポイント | -1.60% |
2017年 | 8,558.42ポイント | 25.11% |
2018年 | 7,466.02ポイント | -12.76% |
2019年 | 7,815.26ポイント | 4.68% |
2020年 | 7,139.71ポイント | -8.64% |
2021年 1月末 | 6,612.62ポイント | -7.38% |
2月末 | 6,794.86ポイント | 2.76% |
3月末 | 6,443.09ポイント | -5.18% |
4月末 | 6,370.87ポイント | -1.12% |
5月末 | 6,628.49ポイント | 4.04% |
6月末 | 6,901.91ポイント | 4.12% |
7月末 | 6,270.23ポイント | -9.15% |
8月末 | 6,855.44ポイント | 9.33% |
9月末 | 6,952.88ポイント | 1.42% |
10月末 | 7,054.70ポイント | 1.46% |
10カ月間 | - | -1.19% |
フィリピン証券取引所のセクター別株価指数上昇率
項目 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年10カ月間 | 21年10月末 |
フィリピン証券取引所指数 | -12.76% | 4.68% | -8.64% | -1.19% | 7,054.70 |
全株指数 | -9.46% | 2.92% | -8.11% | 2.67% | 4,386.79 |
金融株指数 | -20.19% | 4.71% | -22.32% | 5.90% | 1,533.09 |
工業株指数 | -2.49% | -12.02% | -2.51% | 15.31% | 10,831.23 |
持株会社株指数 | -14.79% | 3.41% | -3.13% | -5.67% | 6,937.40 |
不動産株指数 | -8.80% | 14.51% | -11.80% | -14.89% | 3,118.89 |
サービス業株指数 | -10.94% | 6.13% | -1.11% | 24.77% | 1,889.14 |
鉱業・石油株指数 | -28.71% | -1.32% | 17.75% | 5.96% | 10,095.86 |
フィリピン証券取引所の推移(年末・年間値)
項目 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年10月末 |
フィリピン証券取引所指数 | 8,558.42 | 7,466.02 | 7,815.26 | 7,139.71 | 7,054.70 |
年末時価総額(億ペソ) | 175,831 | 161,467 | 167,053 | 158,889 | 196,905 |
国内企業時価総額 | 144,908 | 135,437 | 139,468 | 130,994 | 161,796 |
外国企業時価総額 | 30,923 | 26,030 | 27,585 | 27,895 | 35,109 |
1日平均売買額(億ペソ) | 81 | 71 | 73 | 73 | 86 |
外国人の売買額シェア | 50% | 51% | 55% | 45% | 34% |
外国人買越額(億ペソ) | 562 | -609 | -145 | -1,287 | -874 |
PER(株価収益率) | 22.27倍 | 17.89倍 | 16.52倍 | 24.88倍 | 22.72倍 |