アヤラランド、9カ月間純利益35%増の86億ペソ

設備投資額447億ペソ、18プロジェクト(591億ペソ)始動

2021/11/04

 フィリピン最大級の不動産企業であるアヤラランド(証券コード:ALI)は11月3日、2021年年初9カ月の決算速報を発表した。

 今9カ月間の総収入は前年同期比(以下同様)15%増の726億ペソ、帰属純利益は35%増の86億ペソに達した。予約販売などが好調で、8月から9月にかけての地域隔離措置の再厳格化という逆風を受けたにもかかわらず、増収増益決算であった。

 部門別では、不動産開発部門の収入は、予約販売の増加と建設活動の進展で27%増の515億ペソ。今年前半の販売が堅調で、予約販売額は15%増の701億ペソに達した。第3四半期中、アヤラ・グリーンフィールド・エステーツ4C(ラグナ州カランバ)など4件の新規プロジェクト(130億ペソ相当)を立ち上げた。住宅市場における需要の高まりに対応し、年初9カ月で合計18プロジェクト(総額591億ペソ相当)を開始した。2020年の年間に立ち上げたプロジェクト総額106億ペソを大幅に上回った。

 商業リース収入は18%減の142億ペソ。8月に再度実施されたECQ(強化されたコミュニティー隔離)の影響を受けた。モール入居率は依然として安定していたが、テナントを支援するための賃料割引や限定営業で、ショッピングセンター賃貸収入は35%減の49億ペソにとどまった。一方、オフィス賃貸収入は5%増の75億ペソと小幅ながら増加、BPO(業務外部委託)ビジネス及び事業本部のリースが9カ月間を通じて安定していた。ホテル・リゾート事業収入も外出・移動制限で29%減の19億ペソにとどまった。

 2021年年初9カ月の設備投資額は447億ペソで、そのうちの54%が住宅事業、16%がエステート(タウンシップ)開発、14%が商業プロジェクト、13%が土地買収費用として使われた。

 ALIは、先頃、新たに30億ペソの10年物固定利付き社債(2031年満期)を発行、債券取引所に上場した。この10年債は500億ペソの債券類発行プログラムの一環である。全国に有する32のモールで、合計400の社会的企業が支援を受けており、地域社会に3,000人以上の雇用を創出している。また、クリーンエネルギー源への依存度を高め、温室効果ガスの排出を森林保護と再生を促進する事業などにより相殺、2021年までにカーボンニュートラル達成を目指している。

 全国に1万2,000ヘクタール超の土地を有し、5つの住宅ブランドで広範に事業展開している。モールの総賃貸可能面積は212万平米、オフィスは130万平米、ホテル・リゾート客室数は4,030室。倉庫や共同ワーキングスペース、共同生活スペースなど新たな収益源形式を導入している。