比トヨタ、9カ月間の純利益倍増の44億ペソ

売上高49%増の943億ペソ、市場シェア46%

2021/11/16

 大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、証券コード:MBT)グループの持株会社GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)はトヨタ車事業に注力している。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めたほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。

 これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。その中でも、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2020年まで19年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。個別モデル販売ランキングにおいても、常に上位を独占している。

 11月15日発表のGTCAP事業報告書によると、TMPの2021年9カ月間の卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)57.2%増の9万2,717台、小売ベースの販売台数も46.1%増の9万2,318台と堅調で、業界全体の成長率を上回った。9カ月間の業界全体の小売販売台数は25.0%増の20万1,489台、TMPの市場シェアは45.8%に達し、前年同期の39.2%から大幅上昇、首位の座をさらに強固なものとした。
 
 TMPの売上高は49.2%増の943億ペソ、大幅増収とコスト節減との相乗効果により、帰属純利益は112.3%増(約2.1倍)の44億ペソに達した。比較となる前年が新型コロナ禍やタール山噴火等により業界全体として非常に不振であったことの反動という要素もあるが、急回復ぶりが注目される。

 トヨタモーター フィリピンの年初9カ月の業績比較(単位:百万ペソ、21年は速報値)
2020年 2021年 伸び率
売上高 63,251.30 94,346.20 49.2%
粗利益 8,346.80 11,097.80 33.0%
営業利益 2,696.60 5,478.50 103.2%
帰属純利益 2,088.00 4,432.30 112.3%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)251.3

 トヨタモーター フィリピン年間の業績等の推移(単位:百万ペソ)
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年  2020年 20年伸び率
売上高 104,887 114,289 155,833 185,337 158,941 168,616 99,847 -40.8%
粗利益 14,629 18,299 21,072 23,059 16,620 21,143 13,022 -38.4%
営業利益 9,859 13,910 15,669 16,798 10,255 12,786 4,546 -64.4%
帰属純利益 7,209 10,195 11,929 13,186 7,882 9,082  3,306 -63.4%
総資産 26,681 32,278 36,003 42,158 36,428 38,751 45,396 17.1%
株主資本 11,923 15,228 17,492 19,148 15,238 15,608  9,502 -39.2%
(出所:GTキャピタル年次報告書より作成)

 TMPは、2021年6月30日現在、TMPは71の販売店を有している。そのうち、直営店は6店である。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(BGC)である
 
 なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し一昨年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。