比セブン-イレブン、9月末3,019店で業界断トツ

コロナ禍で業績は悪化、9カ月間で6億ペソの赤字

2021/11/18

 フィリピンのコンビニエンスストア(コンビニ)首位の比セブン-イレブンは、台湾系のプレジデント・チェーンストア(ラブアン)ホールディングスが54.878%(2021年9月末現在)を所有するフィリピン セブン社(PSC、証券コード:SEVN)によって運営されている。
 
 PSCは1982年11月に設立され、1998年2月にフィリピン証券取引所(PSE)に上場した。1984年2月にケソン市エドサ通り沿いに1号店オープン、その後、店舗網拡充に注力、2010年に500店、2013年に1,000店、2017年1月に2,000店を突破、2020年末には2,978店に達した。2020年前半に3,000店体制という目標は、新型コロナウイルス禍で達成が約1年遅れたが、2021年6月末に3,004店となり、ついに3,000店を突破した。
 
 11月17日に公表されたPSCの2021年の年初9カ月事業報告書によると、比セブン-イレブンの2021年9月末の店舗数は3,019店で、前年同月末の2,960店から59店、率にして2.0%の純増となった。当9カ月間に104店がオープンし63店が閉鎖で、2020年末の2,978店から41店の純増。比ミニストップ(458店)や比ローソン(67店)など他社との差を拡大させている。
 
 2021年9月末のセブン-イレブンの店舗数3,019店の地域別内訳は、マニラ首都圏1,003店(2020年末比7店純減)、マニラ首都圏以外のルソン地域1,289店(同38店純増)、セブを中心とするビサヤ地域433店(同1店純増)、ダバオを中心とするミンダナオ地域294店(同9店純増)。また自営店が50%、フランチャイズ店が50%となっている。9月末時点で、総店舗数3019店のうち、70%が24時間営業、25%が昼間営業、5%が臨時休業状態である。
 
 比セブン-イレブンの営業基盤、競争力は強固であるが、2021年の年初9カ月は新型コロナウイルス感染再拡大や変異種出現、それに伴うマニラ首都圏等の地域隔離措置再厳格化で、学校、オフィス、商業施設内の店舗(全体の40%超)は依然影響を受けている。地域隔離措置下でもコンビニエンスストアは常に営業継続を要請されているが、来店客数の減少に加え、移動制限により従業員の出勤に支障が生じ、上記のように臨時休業に追い込まれている店舗もある。したがって、当9カ月間は減収赤字決算を強いられた。
 
 PSCの当9カ月間のグループ全売上高は前年同期比(以下同様)2.3%減の335億ペソ、営業収入は0.2%減の322億ペソ、商品売上高は1.4%減の282億ペソと小幅減。商品売上原価は0.9%減の212億ペソ。最終損失(赤字)は0.2%減の5億8,400万ペソだった。

 フィリピンのセブン-イレブン店舗数(年末もしくは期末)とPSC純損益推移(単位:百万ペソ)
時期 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年  21年9カ月
店舗数 1,282 1,602 1,995 2.285 2,550 2,864 2,978  3,019
純損益 873 1,008 1,176 1,318 1,532 1,445 -420  -584
(出所:フィリピン・セブン資料などより作成)

 主な日本ブランドのコンビニ店舗数(年末・月末値、比セブン-イレブンやファミリーマートは資本的には非日系)
年・月 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 2021年
3月 6月 9月
セブン-イレブン 1,282 1,602 1,995 2,285 2,550 2,864 2,978 2,981 3,004 3,019
ミニストップ 454 519 499 496 499 506 472 464 463 458
ファミリーマート 87 120 99 66 69 76 N.A. N.A. N.A N.A
ローソン 0 16 29 31 38 60 65 67 67 67
(出所:セブン-イレブンとミニストップは発表数値、ファミリーマートはウェブでの表示数、ローソンはウェブ等から推計)