丸紅、東映アニメ、ミネベアミツミが比現地報告

比経済セミナーにて、比はEVや再生エネ等説明

2021/11/26

 駐日フィリピン共和国大使館は、11月24日、国際機関日本アセアンセンターとともに、フィリピン経済セミナー『SDGs 達成に向けて - フィリピンと日本とのパートナーシップ』を開催した。本セミナーでは、フィリピン政府の経済部門の主要官僚が、日本のトップ企業に向けて、フィリピン経済の現状と持続可能な開発に向けたプログラムを紹介した。 駐日フィリピン共和国大使館はこのセミナーの状況に関してついて以下のように説明している。

 ドゥテルテ大統領は、このセミナーに向けたビデオメッセージの中で、平和と発展のためにフィリピンと日本のパートナーシップが重要であることを強調し、「日本はフィリピンにとって平和と発展のための比類なきパートナーであり、貿易、投資、開発援助の重要なパートナーの一つである。これまでの成果に基づき、『持続可能な開発目標』と長期ビジョン『AmBision Natin 2040』の実現に向けてさらに努力するにあたり、日本の継続的な支援を歓迎する」とコメントした。

 ドミンゲス財務大臣は、「持続可能で健全な経済成長に向けたフィリピン・プログラムを紹介し、インフラ整備、製造業、デジタル技術、再生可能エネルギー(RE)、研究開発(R&D)活動などの分野において、今後、日本とのビジネスパートナーシップを強化できることを強調し、「フィリピンは、新たな、より良い正常な状態への準備が十二分にできている」と述べた。

 ロペス貿易産業大臣は、「天然資源と人的資源を背景に、電気自動車(EV)産業の発展に取り組んでいる。エコシステムを構築するにあたり、日本のような戦略的パートナーからの技術や投資が、川上から川下までの産業活動全般の要件を満たすことを期待している。フィリピンは、世界でも有数の鉱物資源の豊富な国である。中でもニッケル、銅、コバルトなどのいわゆるグリーンメタルは、電気自動車のバッテリー製造やワイヤーハーネス製造などの川下産業においてニーズがある。フィリピンには、世界でも有数の埋蔵量を誇る11億トンの銅鉱石がある。フィリピンの銅産業を完全に統合することで、電気自動車のバッテリーや半導体の配線など、成長する産業分野での需要増に対応できると想定している。フィリピンのニッケル埋蔵量は世界第6位、ニッケル生産量は第2位である。リチウムイオン電池の生産に不可欠な硫酸ニッケルや水酸化ニッケルなど、より付加価値の高いニッケル加工に対する投資家の関心も高まっている」と強調した。

 クシエネルギー大臣の代理として参加した、ポサダス上級次官は、「フィリピンにおけるクリーンで再生可能なエネルギー開発への投資機会」について議論し、「フィリピンは、魅力的な規制市場や利用可能な太陽光・風力資源により、HSBC Global Researchによって東南アジアで最も優れた投資先の第2位にランクされている」とコメントした。

 また、丸紅、ミネベアミツミ、東映アニメーションなど、フィリピンでビジネスを展開している日本企業の代表者が、フィリピン政府の支援によってビジネスが成長したことや、さまざまな法律や政策など、フィリピンでビジネスを行うことの利点について紹介した。

 丸紅フィリピンは、丸紅にとって最も重要な拠点の一つである。現在は、発電所、鉄道・輸送、水インフラ、輸送、建設機械、総合商社の各事業を展開している。現在、エネルギー開発、ニュークラークシティ(NCC)、鉄道、水事業において、新しい持続可能なインフラ計画を展開している。また、フィンテック・ソリューション、具体的にはフィリピンの船員や中小企業を支援するためのモバイル・アプリケーションによるAIを活用したマイクロファイナンス、スマート・シティ(ニュー・クラーク・シティ)のエネルギー効率化やICTサービス向けのデジタル・テクノロジーを立ち上げている。

 フィリピン有数の輸出企業に成長したミネベアミツミの貝沼由久会長は、自社のビジネスの成長は、フィリピン財務省と貿易産業省の支援によるものだと感謝の意を表し、「フィリピン政府の強力な支援、高品質かつコスト競争力のある労働力のおかげで、この6年間ですでに500億円以上の投資を行っている」とコメントした。

 東映のASEANにおける唯一の制作拠点である東映アニメーションフィリピンの東伊里彌社長は、「将来的には、フィリピンと共同でオリジナルコンテンツの開発や、アニメーションの教育・研究施設の設立などを行っていきたいと考えてる」と述べた。