ユニオンバンク、シティの比リテール事業買収で合意

アボイティス財閥銀行、個人事業やデジタル化更に推進

2021/12/24

  アボイティス財閥の有力銀行ユニオンバンク オブ フィリピン(証券コード:UBP)は、12月23日、PSE回覧08624-2021号にて、米国大手金融会社シティグループのフィリピン拠点であるシティ フィリピン(比シティ)のリテールバンキング事業(個人向け事業)を取得することで合意した」と発表した。

 この取得はフィリピン中央銀行(BSP)などの監督機関の承認が前提となるが、UBPは、比シティのクレジットカード、個人向け融資・預金、資産管理などの事業、イーストウッドのシティバンクスクエアの不動産持分、フルバンキングサービス銀行3支店、5つのウェルスセンター、および銀行2支店などを買収する。買収総額は公表されていないが、これら買収資産価値と約450億ペソのプレミアムとの合計額と見られている。UBPはこの買収により、リテールバンキング事業の拡充とデジタル化の一層の推進を目指す。

 シティグループは、今年4月15日、アジアとEMEA(欧州・中東・アフリカ)の13市場での個人向け事業から撤退する方針を発表した。個人向け事業から撤退する13市場とは、フィリピン、オーストラリア、バーレーン、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ポーランド、ロシア、台湾、タイ、ベトナムである。これらの市場では、法人や機関投資家事業に集中し、個人向け事業はシンガポール、香港、アラブ首長国連邦(UAE)、ロンドンの4拠点で対応する。

 シティのフィリピンでの歴史は、その前身であるインターナショナルバンキング コーポレーションが最初にマニラに支店を設立した1902年にまで遡る。フィリピン最大の外資系銀行として、法人向け、個人向け、富裕層向けサービス、クレジットカード、保険、投資銀行業務など幅広いビジネスを展開している。マニラ首都圏やセブ都市圏の主要拠点で事業展開、現在の総スタッフ数は8,000人以上に達する。フィリピンの商業銀行ランキングにおいてトップ10常連となっている。

 一方、UBPの2021年9月末の総資産は7,678億ペソで民間銀行第7位となっている。デジタル化推進効果の顕在化もあって、2021年9カ月間の帰属純利益は25.6%増の107億ペソと好調、ROEも13.30%で業界トップクラスとなっている。BSPからデジタル銀行を認可された6行のうちの一行であり、「ユニオン デジタルバンク」を設立しつつある。