JBICなど、JERAに10.6億ドルの協調融資

アボイティスパワー出資支援や脱炭素化推進へ

2021/12/28

 国際協力銀行(JBIC)は、12月27日、「JERA(東京電力フュエル&パワーと中部電力の折半合弁エネルギー企業、本社:東京都中央区日本橋)との間で、融資金額6億3,000万米ドル(JBIC分)の融資契約を締結した」と発表した。

 この融資は、民間金融機関との協調融資で総額は約10億6,300万米ドル相当、JERAの子会社であるシンガポールJERA Asia Pte. Ltd.を通じて、フィリピンの電力企業アボイティスパワー(証券コード:AP)の発行済み株式の一部を取得するために必要な資金を融資するものである。

 JERAはAPの発行済み株式の約27%を取得。取得額は約15億8,000万米ドル(約1,800億円)と発表されている。
27%のAP株式の大半25.01%は、APの親会社であるアボイティスエクイティーベンチャーズ(証券コード:AEV)から14億6,320万米ドルで、残りの1.99%はアボイティス財閥のファミリー企業から取得。JERAの出資により、AEVのAP出資比率はこれまでの77%から52%へと低下するが、AEVはマジョリティ株主であり続ける。

 アボイティス財閥の旗艦企業であるAEVの子会社であるAPは、PSE上場の大手電力企業である。建設中を含む約4,600メガワット(MW)の発電所を保有・運営し、フィリピンの約2割の電力供給を担うとともに、セブ市やダバオ市では配電事業を手掛けている。今後増大する電力需要への対応と、エネルギーの脱炭素化を両立していくため、2030年までに再生可能エネルギーを中心に開発を進め、9,200MWまで発電資産を拡大するとともに、火力発電と再生可能エネルギーのバランスを50:50とする方針を示している。

 JERAは、「JERAゼロエミッション2050」において、2050年時点における国内外の事業からのCO2排出量ゼロを掲げており、APへの出資により、フィリピンにおけるエネルギーの安定供給を支えるとともに、フィリピンの脱炭素化に貢献することを目指している。本件は、こうしたJERAの取り組みを支援するものであり、日本企業による海外でのM&Aに必要な長期外貨資金を供給することで、日本企業の海外における事業拡大や新たな事業展開を支援し、日本の産業の国際競争力の維持・向上に貢献するものである。

 JBICは今後も、日本の公的金融機関として、民間金融機関と連携しつつ、日本企業による海外M&Aを積極的に支援し、その海外事業展開を金融面から支援していく方針である。