21年第3四半期の住宅不動産価格、6.3%上昇

前年比で3期ぶりプラス、コンドミニアム13.6%上昇

2021/12/31

   フィリピン中央銀行(BSP)は12月29日、2021年第3四半期(7月~9月)の住宅の不動産価格指数(RREPI)を発表した。

 [2021年第3四半期の住宅不動産価格指数(RREPI)の動向]
 RREPIデータに基づくと、当期の全国の住宅価格は前年同期比6.3%上昇し、前年同期比では3四半期ぶりにプラスに転じた。前期(2021年第2四半期)比でも0.7%上昇した。コンドミニアムやタウンハウスの堅調な需要が寄与した。

 地域別で見ると、首都圏の住宅価格が前年同期比(以下同様)11.4%上昇、5四半期ぶりにプラスに転じた。コンドミニアム及びタウンハウスの価格上昇が一戸建住宅の値下りをカバーした。二世帯住宅に関してはBSPへの融資報告はなかった。地方の住宅価格も4.9%上昇した。

 住宅のタイプ別で見ると、コンドミニアムとタウンハウスとの価格上昇が全国における住宅価格を引き上げた。一方、一戸建住宅の価格は全国、首都圏、地方いずれも下落した。タウンハウスは全国では37.1%上昇、首都圏では26.4%上昇、地方では46.2%上昇。コンドミニアムは全国では13.6%上昇、首都圏では13.4%上昇、地方では同13.2%上昇と二桁の上昇だった。


 フィリピン住宅不動産価格指数・上昇率推移 (2014年第1四半期=100)

年・時期 2019年 2020年 21年 
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q
全国
前年同期比上昇率(%)
住宅全種類 3.2 0.8 10.4 10.4 12.6 26.6 -0.4 0.8 -4.2 -9.4 6.3
一戸建住宅 -1.9 -3.7 2.4 5.8 7.3 23.4 7.4 4.7 0.2 -7.4 -4.2
二世帯住宅 -8.0 12.5 24.8 50.4 38.3 0.8 -8.8 20.0 -20.7 28.9 -0.2
タウンハウス 9.7 4.3 6.0 10.0 5.6 10.8 12.0 16.1 8.3 15.1 37.1
コンドミニアム 10.9 9.6 29.1 18.9 23.6 30.1 -15.0 -8.4 -10.7 -14.3 13.6
前期比上昇率(%)
住宅全種類 1.6 -1.5 9.1 1.2 3.5 10.7 -14.1 2.4 -1.6 4.8 0.7
一戸建住宅 2.7 -3.9 4.8 2.3 4.2 10.5 -8.8 -0.3 -0.3 2.2 -5.7
二世帯住宅 22.5 -7.9 29.4 3.1 12.6 -32.9 17.1 35.6 -25.6 9.1 -9.3
タウンハウス 3.4 -0.3 1.1 5.6 -0.8 4.6 2.2 9.4 -7.4 11.1 21.7
コンドミニアム 0.7 4.5 17.9 -4.1 4.6 10.0 -23.0 3.4 2.0 5.5 2.0
首都圏(NCR)
前年同期比上昇率(%)
住宅全種類 8.4 5.7 22.2 15.1 18.9 34.3 -12.2 -4.8 -10.0 -18.3 11.4
一戸建住宅 -2.0 -8.6 -2.4 3.5 -3.7 64.8 23.3 15.9 12.4 -22.5 -8.8
二世帯住宅 -65.9 39.9 43.1 93.0 -35.3 - -11.8 29.6 39.2 - -
タウンハウス 1.8 -9.2 -11.9 -10.7 -5.2 5.0 11.2 18.3 5.8 -3.5 26.4
コンドミニアム 11.6 10.5 33.8 21.0 28.0 36.4 -17.9 -8.8 -12.8 -17.8 13.4
前期比上昇率(%)
住宅全種類 1.6 0.7 16.3 -3.3 5.0 13.8 -24.0 4.8 -0.8 3.4 3.7
一戸建住宅 6.5 -11.3 4.0 5.4 -0.9 51.7 -22.2 -0.9 -3.9 4.6 -8.4
二世帯住宅 66.5 -17.0 70.3 -18.0 -44.2 - - 20.5 -40.0 - -
タウンハウス -2.8 -8.3 -2.8 3.1 3.3 1.4 2.9 9.7 -7.7 -7.4 34.8
コンドミニアム 0.6 4.9 21.7 -5.8 6.4 11.8 -26.8 4.7 1.7 5.4 1.0
地方
前年同期比上昇率(%)
住宅全種類 0.5 -1.0 4.9 8.3 8.5 17.8 6.4 5.9 0.8 -0.6 4.9
一戸建住宅 -1.8 -3.4 2.8 5.9 8.4 20.8 6.5 4.2 -0.5 -6.0 -3.8
二世帯住宅 7.8 0.8 30.9 30.8 61.2 5.2 -13.3 20.8 -27.9 24.3 13.8
タウンハウス 13.9 10.2 14.4 20.4 9.5 13.2 12.0 14.3 9.6 27.2 46.2
コンドミニアム 6.8 4.7 8.7 9.8 5.5 3.1 3.6 -2.1 4.2 9.6 13.2
前期比上昇率(%)
住宅全種類 2.6 -1.9 4.5 2.9 2.8 6.6 -5.6 2.4 -2.1 5.1 -0.4
一戸建住宅 2.3 -3.3 5.0 2.0 4.7 7.8 -7.5 -0.3 0.0 1.9 -5.3
二世帯住宅 5.9 -2.8 20.2 5.8 30.5 -36.6 -1.0 47.3 -22.1 9.3 -9.3
タウンハウス 6.3 2.7 3.0 7.1 -3.3 6.2 1.8 9.3 -7.3 23.3 17.0
コンドミニアム 1.2 3.0 1.5 3.7 -2.7 0.7 2.0 -2.0 3.5 6.0 5.3
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、全て改訂値)
注:アパートに関する指数は無。二世帯住宅は報告された不動産融資件数が比較的少ないため、変動的である。

 [2021年第3四半期の住宅不動産融資(RREL)の概要]
 当期の全国の新築住宅ローン件数は8,356件で前年同期比51.1%増、前期比32.3%増。首都圏及び地方でも同様の傾向だった。首都圏の新築住宅ローン件数は前年同期比35.5%増、前期比24.2%増の3,319件。地方は前年同期比63.5%増、前期比38.3%増の5,037件だった。

 当期の住宅不動産融資の84.7%が新築住宅の購入だった。タイプ別では、一戸建住宅の購入が43.0%、次いでコンドミニアムが39.2%、タウンハウスが17.1%、二世帯住宅が0.5%。地域別では、首都圏が住宅ローン全体の37.2%を占め、その大部分はコンドミニアムの購入用だった。次いでカラバルソン28.5%、中央ルソン13.0%、中央ビサヤ5.0%、西ビサヤ4.7%、ダバオ3.6%、ビコール2.1%。これらの7地域で住宅ローン全体の94.1%を占めた。

 全国の新築住宅の1平米当たり平均評価額は前年同期比8.7%増の7万4,806ペソ。マニラ首都圏では同9.6%増の11万3,080ペソ。地方では同19.4%増の4万9,566ペソだった。

 新築住宅ローン件数の変化

地域 前年同期比増減率(%) 前期比増減率(%)
20年3Q 21年2Q 21年3Q 20年3Q 21年2Q 21年3Q
全国 -43.3 82.3 51.1 59.7 -3.6 32.3
首都圏 -50.4 27.2 35.5 16.7 -11.6 24.2
地方 -36.0 167.2 63.5 126.0 3.3 38.3
(出所:中央銀行資料より作成)
 
 新築住宅の平均評価額(1平米当たり)

地域 前年同期比増減率(%) 前期比増減率(%)
20年3Q 21年2Q 21年3Q 20年3Q 21年2Q 21年3Q
全国 -18.3 -29.1 8.7 -35.6 1.8 -1.2
首都圏 -18.6 -27.1 9.6 -30.4 4.3 -2.5
地方 2.3 7.0 19.4 -3.9 7.7 7.3
(出所:中央銀行資料より作成)

 [中央銀行の住宅不動産価格指数(RREPI)について]
 RREPIは、各金融機関の新築住宅購入向け融資のデータなどに基づいた、様々なタイプの住宅価格における平均変動の一つの尺度である。不動産市場や金融市場の動向を分析・把握する上で有益な手段を提供する。BSPは、2015年11月16日の回覧892号で、国内全ての商業銀行(拡大商業銀行含)、貯蓄銀行に住宅不動産融資に関する四半期報告書の提出を義務付けている。そして、2016年第1四半期からRREPIの公表を開始した。