2021年の決算発表開始、アヤラ系BPIは11.5%増益

貸倒引当53%減少が寄与、総資産2兆4千億ペソ超に

2022/02/04

 2021年の決算発表シーズン入りとなった。銀行業界では、まず、アヤラ財閥傘下の有力拡大商業銀行バンク オブ ザ フィリピン アイランズ(証券コード:BPI)が決算速報を発表した。
 
 BPIの2021年の総収入は前年比(以下同様)4.2%減の974億ペソにとどまった。主力の純金利収入は3.7%減の696億ペソへと減少した。純金利率は3.30%で前年の3.49%から19ベイシスポイント低下した。一方、非金利収入も売買益減少が響き5.5%減の278億ペソと伸び悩んだ。

 営業費用はデジタル化投資などで5.4%増の507億ペソに達したが、貸し倒れ引当が53.1%減の131億ペソに収まったことなどで純利益は11.5%増の239億ペソと二桁増益となった。特に、第4四半期の純利益は51.2%増の64億ペソに達し、前期比でも13.2%増となった。
 
 2021年末の総融資残高は前年末比4.9%増の1兆4,800億ペソ。受け入れ預金残高は13.9%減の1兆9,600億ペソ。そのなかで、コストの低い当座預金・貯蓄口座(CASA)預金残高は10.3%増加、全預金残高に占める比率は77%であった。預貸率(LDR)は75.5%となった。
 
 総資産は8.4%増の2兆4,200億ペソ、株主資本は4.8%増の2,931億ペソへと増加した。不良債権(NPL)比率は2.49%で、前年末の2.68%、前期末の2.73%から低下した。NPL貸し倒れ引当率は136.1%で、前年末の115.2%から上昇した。株主資本利益率(ROE)は8.4%、総資産利益率(ROA)は1.1%。バーゼルⅢ基準でのリスク加味自己資本比率(CAR)は16.7%で中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本(CET1)比率も15.8%と良好で中央銀行の最低基準大幅に上回っている。

 なお、BPIは1851年に創立されたフィリピン最古の銀行であり、昨年創業170周年を迎えた。今年1月1日には、100%子会社であった貯蓄銀行BPIファミリー セービングズ バンク(BFSB)を吸収合併、規模の拡大、効率化、シナジー効果、株主利益の最大化を図りつつある。フィリピン最大級の貯蓄銀行であったBFSBの総資産は2,870億ペソ、受入預金残高は2,350億ペソ、融資残高は2,270億ペソ。行員数は約3,000人であった。