1月のインフレ率3.0%(新基準)、14カ月ぶり低水準

12月の3.2%(旧基準で3.6%)から鈍化、首都圏1.3%

2022/02/05

  フィリピン統計庁(PSA)は2022年1月から消費者物価指数の基準年をこれまでの2012年から2018年へと変更した。新基準(2018年基準)では、2022年1月の総合インフレ率(消費者物価指数、2018年=100)は3.0%と前月から0.2%ポイント鈍化、前年同月から0.7%ポイント鈍化、2020年11月の3.0%以来、14カ月ぶりの低水準となった。

 1月の総合インフレ率減速は、発電費低下による電気料金の値下がりやLPG値下がり、住宅・水道光熱費の上昇ピッチが鈍化したことなどによる。鈍化傾向は、酒類・タバコ、健康・医療、娯楽・文化、教育、外食・サービスにも見られた。一方、上昇率が加速したのは、交通・輸送、家具類・住宅管理、情報通信費などだった。

 地域別で見ると、マニラ首都圏(NCR)は1.3%で前月から0.8%ポイント低下、一方地方は3.5%で前月から0.1%ポイント上昇した。最も高かった地域は、サンボアンガ半島(6.0%)、東ビサヤ(5.2%)。最も低かったのは、マニラ首都圏(1.3%)、次に低かったのはカガヤンバレー(1.7%)だった。

 新基準での年間平均総合インフレ率は2019年2.4%、2020年2.4%、2021年3.9%、旧基準での2019年2.5%、2020年の2.6%、2021年4.5%よりかなり低くなる。2021年12月に関しては、旧基準で3.6%、新基準では3.2%となる(詳細は別掲)。

 なお、フィリピン中央銀行(BSP)発表によると、1月の総合インフレ率3.0%への寄与度は、食品・非アルコール飲料0.6%(うち食品0.6%)、住宅・水道光熱費1.0%、交通・輸送0.6%、外食・宿泊サービス0.3%、酒類・たばこ0.1%、家具・住宅設備管理0.1%、健康・医療0.1%、衣料・履物類0.1%、パーソナルケア類0.1%だった。



 総合消費者物価指数(CPI)上昇率(インフレ率:2018年基準、前年同月比%)

項目 2021年1月 2021年12月 2022年1月
全国   総合インフレ率 3.7 3.2 3.0
首都圏 総合インフレ率 3.4 2.1 1.3
地方   総合インフレ率 3.9 3.4 3.5
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

 総合CPI上昇率  (2018年基準、前年同月比%)

項目 2021年   22年 
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月
総合 3.7 4.2 4.1 4.1 4.1 3.7 3.7 4.4 4.2 4.0 3.7 3.2 3.0
食品・非酒類 5.9 6.2 5.3 3.8 3.5 3.6 3.9 5.6 5.0 3.7 2.2 1.6 1.6
酒類・タバコ 11.3 11.7 11.3 11.2 11.1 10.4 9.3 9.4 9.5 8.7 6.9 6.2 5.6
衣料・履物類 1.6 1.7 1.7 1.7 1.9 1.8 1.9 1.8 1.9 1.9 2.0 1.9 2.0
住宅・水道光熱費 0.2 0.6 0.7 1.3 1.7 2.0 2.7 3.4 3.8 4.3 4.8 5.1 4.5
家具類・住宅管理 2.6 2.3 1.8 1.9 2.2 2.2 2.1 2.0 2.2 2.1 2.1 2.1 2.4
健康・医療 3.8 3.9 4.0 4.0 4.1 3.9 3.9 3.8 3.8 3.7 3.6 3.2 3.1
交通・輸送 6.6 8.2 11.7 16.6 16.2 10.2 7.1 6.9 5.6 7.6 9.8 6.6 7.0
情報・通信 0.6 0.7 0.6 0.6 0.6 0.8 0.5 0.6 0.7 0.6 0.6 0.6 0.7
娯楽・文化 -0.6 -0.7 -0.7 -0.6 -0.5 -0.5 -0.6 1.1 1.6 1.6 1.6 1.6 1.5
教育 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 1.0 0.9 0.7 0.7 0.7 0.7 0.6
外食・宿泊サービス 2.6 3.0 2.9 3.3 3.9 4.2 3.8 4.0 4.0 3.8 3.7 3.2 3.0
金融サービス 0.0 0.0 0.0 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3 43.3
パーソナルケア類 2.4 2.4 2.4 2.4 2.4 2.4 2.3 2.2 2.2 2.1 2.2 2.1 2.2
首都圏 3.4 3.2 2.5 2.4 2.6 2.6 2.9 3.3 3.0 2.5 2.2 2.1 1.3
地方 3.9 4.4 4.6 4.5 4.5 4.0 3.9 4.8 4.5 4.4 4.0 3.4 3.5
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

 食料物価上昇率 (2018年基準、前年同月比%)

項目 食品 コーン 果実 野菜 肉類 魚類 乳製品・卵 油・油脂 砂糖・菓子類 その他食品
21/12月 1.6 -0.1 16.5 -3.7 -15.1 8.7 6.2 0.7 8.0 2.1 1.3
22/ 1月 1.6 1.0 27.7 -5.7 -10.9 4.3 6.2 0.9 8.5 2.8 1.9
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)

 2022年1月のインフレ率(2018年=100)と寄与度 (単位:%)

項目 物価指数
構成比
1月
インフレ率 寄与度
総合 100.00 3.0 3.0
食品・非酒類 37.75 1.6 0.6
   うち食品のみ 34.78 1.6 0.6
酒類・煙草 2.16 5.6 0.1
衣料・履物類 3.14 2.0 0.1
住宅・水道光熱費 21.38 4.5 1.0
家具類・住宅管理 3.22 2.4 0.1
健康・医療 2.89 3.1 0.1
交通・輸送 9.03 7.0 0.6
情報・通信 3.41 0.7 0.0
娯楽・文化 0.96 1.5 0.0
教育 1.96 0.6 0.0
外食・宿泊サービス 9.62 3.0 0.3
金融サービス 0.03 43.3 0.0
パーソナルケア類 4.46 2.2 0.1
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)