日本支援のLRT-1号線南方延伸、進捗率62%に

住友商事出資のLRMCが推進、三菱商事が車両納入

2022/02/08

 フィリピン運輸省(DOTr)のアーサー・トゥガデ大臣は、2月7日、「マニラ首都圏軽量鉄道1号線(LRT-1号線)の南方延伸事業の全体の進捗率は、2021年12月末現在で61.6%に達している。20年前に浮上した構想が現実のものとなりつつある」と表明した。
 
 この延伸事業は、マニラ首都圏を南北に走る軽量鉄道LRT-1号線(全長18km)につき、現在の南端であるバクララン駅からカビテ州バコールまで約11.7km延伸(8駅設置)するものである。このうち、車両調達、車両基地の整備について、円借款「マニラ首都圏大量旅客輸送システム拡張計画」(供与限度額約433億円)の一環として、ライトレール マニラ コーポレーション(LRMC社)によって推進されつつある。

 LRT1号線は、東南アジア初の都市鉄道として1984年に開業し、現在もマニラ市内の主要な公共交通機関としての役割を果たしてきている。日本は、開業後に需要増大に対応して行われた2度の機能拡張事業への支援を通じて、その運営に貢献してきた。本事業では、首都圏と郊外の間における移動の利便性が向上し、急速な人口増大、経済成長が進展しているマニラ首都圏の持続可能な発展へ寄与することが期待される。

 同事業のフェーズ1は2024年末か2025年初に完工、全線開通は2027年と予定されている。全線開通すると、バクラランとバコール間の移動時間は、現在の1時間10分から僅か25分に短縮すると期待されている。また、LRT1号線の1日あたり乗客数は50万人から80万人に増加するともみられている。LRMCによると、フェーズ1の進捗率は67.5%とのことである。

 住友商事は、2020年5月、LRT1号線の運営・保守事業を行うLRMC社の株式約19.2パーセントを間接的に取得し、出資参画した。それまでのLRMC社の株主は、フィリピンを拠点とする大手インフラ投資事業者であるメトロパシフィック インベストメンツ(MPIC)、フィリピン最古かつ最大級のコングロマリット(複合企業)であるアヤラ コーポレーション傘下のAC インフラストラクチャー ホールディングス、グローバルに金融サービスを提供するMacquarieグループの3社であった。ここに、住友商事が加わったのである。

 このLRT延伸路線に使用される車両の納入が、三菱商事によって開始されつつある。三菱商事は、フィリピン運輸省より、LRT1号線向け鉄道車両を受注している。契約予定金額は約300億円となり、日本政府とフィリピン政府の間で締結された円借款契約により手当てされている。供給する車両はスペイン最大手の鉄道車両メーカーであるConstrucciones y Auxiliar de Ferrocarriles, S.A.(CAF社)が日本製の機器類を採用して製造するもので、車両120両(30編成)を納入する。