銀行業界不良債権比率、1月末4.14%へ悪化

2カ月ぶり4%台、コロナ急増や外出制限強化響く

2022/03/09

 フィリピン中央銀行(BSP)のデータによると、2022年1月末のフィリピン銀行業界の総融資残高(11兆1,430億ペソ)に占める総不良債権(元利回収遅延債権)比率(NPL比率)は4.14%で、前月末の3.97%から0.17%ポイント、前年同月末の3.72%から0.42%ポイント悪化した。不良債権(NPL)貸倒引当率は87.27%と前月末、前年同月末から低下した。

 1月は新型コロナウイルス感染が急増、マニラ首都圏などのコロナ警戒レベルが3へと再強化されたことによる経済活動鈍化がNPL比率の再悪化につながったと見られる。

 総資産に占める不良資産(NPA=元利回収遅延融資+担保権行使による取得不動産等)比率は2.76%で、前月末の2.69%、前年同月末の2.61%から拡大した。一方、不良資産(NPA)貸倒引当率は75.29%で前月末、前年同月末から低下した。

 フィリピン銀行業界の不良債権・不良資産比率など(月末値、単位:%)
項目 2021年1月 2021年12月 2022年1月
総融資に占める総不良債権(NPL)比率 3.72 3.97 4.14
NPL貸倒引当比率 93.86 87.70 87.27
総融資残高(TLP)貸倒引当比率 3.50 3.48 3.62
総資産に占める不良資産(NPA)比率 2.61 2.69 2.76
不良資産(NPA)貸倒引当比率 79.15 75.34 75.29
(出所:BSP資料より作成)

 フィリピン銀行業界の不良債権(元利回収遅延債権=NPL)比率などの推移(単位:億ペソ、比率%)
年月 総融資残高 NPL残高 貸倒引当残高 対総融資NPL比率 NPL貸倒引当比率 TLP貸倒引当比率
13年末 48,970 1,355 1,609 2.77 118.69 3.29
14年末 58,324 1,348 1,616 2.31 119.83 2.77
15年末 65,273 1,365 1,616 2.09 118.42 2.48
16年末 76,121 1,442 1,728 1.89 119.89 2.27
17年末 88,656 1,530 1,843 1.73 120.44 2.08
18年末 100,779 1,778 1,871 1.76 105.22 1.86
19年末 109,661 2,241 2,075 2.04 92.59 1.89
20年末 108,726 3,949 3,672 3.63 92.98 3.38
21年末 113,911 4,525 3,968 3.97 87.70 3.48
22/1月 111,430 4,617 4,029 4.14 87.27 3.62
(出所:BSP資料より作成)

 フィリピン銀行業界の対リスク資産自己資本比率(CAR、単独ベース、単位:%)
2020年 2021年
3月末 6月末 9月末 12月末 3月末 6月末 9月末
15.54 16.40 16.87 16.72 16.90 17.17 17.10
(出所:BSP資料より作成)