住友鉱出資のニッケル アジア、21年は92%増益

帰属純利益78億ペソ、EV用需要などで市況大幅上昇

2022/03/11

 フィリピンの有力ニッケル鉱山会社であるニッケル アジア コーポレーション社(ナック社、証券コード:NIKL)は、3月10日、2021年(1月~12月)の決算速報を発表した。

 2021年の鉱石販売量は前年比(以下同様)1%減の1,794万ウェットメトリックトン(WMT)にとどまった。しかし、1WMT当たりの加重平均実現価格が30%上昇し29.13米ドルに達した。日本や中国向け輸出価格は、1WMT当たり40.40米ドルであった。その結果、総収入は26%増の274億ペソへと二桁増加した。二桁増収効果に加え、総現金費用が11%増の173億ペソと増収率を大幅に下回る伸びにとどまったことなどで、帰属純利益は92%増の78億ペソ、EBITDA(利払い・税金・償却前利益)は52%増の144億ペソと大幅増加した。

 サモラ社長兼最高経営責任者(CEO)は、「建設、製造、石油・ガス部門の回復によるステンレス鋼の生産量の急増と電気自動車バッテリー業界からの需要の加速により、ニッケルの需要は引き続き堅調であり、さらに、インドネシア鉱石の輸出禁止と新型コロナウイルス対策としての地域隔離措置にともなうニッケル供給不足がニッケル価格を引き上げている」と説明した。

 ナック社は世界有数のニッケル資源国であるフィリピンにおいて、最大規模のニッケル鉱石生産を行う鉱山会社である。そして、住友金属鉱山の重要な戦略パートナーとなっている。住友鉱は、ナック社に2009年に資本参加した。現時点で、100%子会社である住友金属鉱山フィリピン ホールディングス(SMMPH)を通じてナック社権益約26%を保有している。SMMPHは2010年に、フィリピンでのニッケル事業に関する地域統括会社として設立された。