22日に日本支援のMRT3号線改修完工式、比が改善ぶり絶賛

JICA融資、日本製鉄レール供給、住商や三菱重工維持・運営

2022/03/22

 3月21日、フィリピン運輸省(DOTr)のアーサー・ツガデ大臣は、「3月22日に、日本支援のマニラ首都圏鉄道3号線(MRT3号線)改修事業の完工式を実施する」と発表した。セレモニーはドゥテルテ大統領やツガデ大臣が主導する。

 改修事業は昨年11月までにほとんど完工、ツガデ大臣らは、「JICAの融資、日系企業連合による改修・保守により、MRT3のインフラや運行は大幅に改善され、既に利用者は速くて、便利で、快適なMRT3乗車を満喫している」と称賛している。

 DOTrによると、日系企業連合が再参画する以前(韓国の釜山交通公社などが維持・保守)のMRT3は、待ち時間が長い、乗り換えが不便という問題だけでなく、脱線などの事故、故障、運行の中断などが度々発生していた。故障した車両から乗客が次の駅まで線路を歩くという光景も珍しくなかった。

 MRT3号線改修・維持プロジェクトに関しては、2018年11月に、JICAが約381億円を上限とする融資契約を締結、2019年5月1日、住友商事、三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング(MHIENG)とTES Philippines Inc. (本社:ケソン市、以下「TESP」)が、MRT3号線の改修および維持プロジェクトを開始した。老朽化などにより稼働率が下落した車輌や設備一式を、通常運行を妨げることなく大規模に改修し安全で効率的な路線へと復旧させるとともに、改修完了後も高い稼働率を継続維持するために、安全なメンテナンス体制も新たに構築。レールは、日本製鉄の18メートルの高品質レールなどに置き換えられた。

 このように、ツガデ大臣のもとでDOTrは、日系企業連合の支援を得て、MRT3の改修と保守に注力、レールや設備を大幅改善し脱線事故を皆無にした。運行車両は以前の10~15編成から23編成へと増加、運行速度は以前の時速30キロ以下から60キロへと向上した。1日あたり輸送能力も30万人から60万人に拡大した。また、すべての駅のエスカレーターやエレベーターも完全に機能するようになったとのことである。すべての車両には、完全作動する新しいエアコンユニットが設置された。

 なお、MRT3の2021年の乗客数は、新型コロナウイルス感染禍のなか、4,567万5,884人に達した。