ニチバン、テープ巻心回収で比植樹等を継続支援

「セロテープ」原料ほぼ天然素材、環境親和型製品

2022/03/23

 ニチバン(本社:東京都文京区)は、各種使用済み粘着テープの巻心を回収し、資源として再利用する環境活動「第12回ニチバン巻心ECOプロジェクト」を、2021年9月1日から12月28日まで実施した。この結果などを、3月22日に発表した。

 その発表によると、全国から677団体(学校・企業・病院など)と360人の個人が参加した結果、55万1,373個(重量換算7,100㎏)の巻心を回収することができ、第1回からの累計回収個数は477万3,481個(累計重量60,589kg)に達した。回収した巻心はダンボールにリサイクルして再利用するとともに、リサイクルによる利益金およびニチバンからの支援金を、環境保全に役立てる。

 ニチバンでは、再生可能な植物資源である樹木を主な原料としたセロテープや、テープを貼ったまま紙を再生できる「ecoのり」など、環境に配慮した製品を多く展開している。その中で、製品の多くを占める粘着テープで使われている巻心をゴミにしないために、2010年から始めたのが「巻心ECOプロジェクト」である。今回で12回目の実施となる。環境教育の面から本プロジェクトを授業などに取り入れる学校もあり、「巻心ECOプロジェクト特設ウェブサイト」では、小学校での取り組みを紹介している。

 また、今回参加した小学校のうち14校で「出前授業」を実施した。セロテープを題材に、リサイクル活動の重要性や環境問題などをレクチャーし、緑の地球のために何ができるのか、児童たちと一緒に考える取り組みを行っている。障がい者アートの応援活動「パラリンアート」もサポートし、「第12回ニチバン巻心ECOプロジェクト」の実施に当たり、障がい者アーティストの作品を、本プロジェクトのポスター・感謝状・花の種のデザインに採用している。

<環境保全活動>
 巻心リサイクルによる利益金及びニチバンからの支援金を下記の環境保全活動に役立てる。
1.フィリピンでのマングローブの植樹・メンテナンス活動
 環境NGO『イカオ・アコ』(所在地:愛知県名古屋市)が1997年から実施している活動。これまでネグロス島・ボホール島各地に約130万本の植樹を行っている。ニチバンは「巻心ECOプロジェクト」開始時からこの活動を支援しており、これまでに30万本以上の植樹に協力している。
2.江の川「森のしずく」保全活動
 島根県邑智郡、江の川(ごうのかわ)流域で2018年5月から開始した森の保全活動。植林や間伐など適切な手入れを行うことで、空気や水をきれいにし、土砂災害を防ぐなど、森の本来の力を高める取り組みである。

 なお、「セロテープ」は化学品のイメージを持たれることが少なくないが、1948年の発売当初から、原料のほとんどを植物由来の天然素材で製造している。テープの基材となるセロハンの原料は紙と同じ木材パルプ。粘着剤はゴムの木の樹液を主成分とする天然ゴムに、樹皮から分泌される松ヤニなどの天然樹脂を配合して作られている。巻心にも再生紙を使用している。焼却してもCO2の発生量はプラスチック製の粘着テープと比較して7分の1程度であり、カーボンニュートラルの観点からも、大気中のCO2増加抑制に貢献できる。