住宅価格、第4四半期4.9%上昇:中銀調査

コンドミニアム10.4%上昇、一戸建て1.1%下落

2022/03/26

 フィリピン中央銀行(BSP)は3月25日、2021年第4四半期(10月~12月)の住宅の不動産価格指数(RREPI)を発表した。

 [2021年第4四半期の住宅不動産価格指数(RREPI)の動向]
 RREPIデータに基づくと、第4四半期の全国の住宅価格指数は引き続き上昇している。当期は、タウンハウスやコンドミニアムの持続的な需要により、前年同期比4.9%上昇した。また、対前期比では1.1%の上昇だった。

 住宅の種類別では、タウンハウスとコンドミニアムの価格上昇が全国の住宅不動産価格を引き上げた。全国のタウンハウスの価格は前年同期比22.6%上昇、コンドミニアムは同10.4%上昇した。一方、一戸建て住宅の価格は同1.1%下落、二世帯住宅は同10.2%下落した。

 地域別で見ると、首都圏の住宅価格は前年同期比5.0%上昇した。コンドミニアム及びタウンハウスの価格上昇が一戸建て、二世帯住宅の値下りを相殺した。対前期比では1.2%の下落だった。一方、地方の住宅価格は前年同期比5.1%上昇、対前期比では2.6%上昇した。

 フィリピン住宅不動産価格指数・上昇率推移 (2014年第1四半期=100)
年・時期 2019年 2020年 2021年 
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q
全国
前年同期比上昇率(%)
全住宅 3.2 0.8 10.4 10.4 12.6 26.6 -0.4 0.8 -4.2 -9.4 6.3 4.9
一戸建住宅 -1.9 -3.7 2.4 5.8 7.3 23.4 7.4 4.7 0.2 -7.4 -4.2 -1.1
二世帯住宅 -8.0 12.5 24.8 50.4 38.3 0.8 -8.8 20.0 -20.7 28.9 -0.2 -10.2
タウンハウス 9.7 4.3 6.0 10.0 5.6 10.8 12.0 16.1 8.3 15.1 37.1 22.6
コンドミニアム 10.9 9.6 29.1 18.9 23.6 30.1 -15.0 -8.4 -10.7 -14.3 13.6 10.4
前期比上昇率(%)
全住宅 1.6 -1.5 9.1 1.2 3.5 10.7 -14.1 2.4 -1.6 4.8 0.7 1.1
一戸建住宅 2.7 -3.9 4.8 2.3 4.2 10.5 -8.8 -0.3 -0.3 2.2 -5.7 3.0
二世帯住宅 22.5 -7.9 29.4 3.1 12.6 -32.9 17.1 35.6 -25.6 9.1 -9.3 22.0
タウンハウス 3.4 -0.3 1.1 5.6 -0.8 4.6 2.2 9.4 -7.4 11.1 21.7 -2.1
コンドミニアム 0.7 4.5 17.9 -4.1 4.6 10.0 -23.0 3.4 2.0 5.5 2.0 0.5
首都圏(NCR)
前年同期比上昇率(%)
全住宅 8.4 5.7 22.2 15.1 18.9 34.3 -12.2 -4.8 -10.0 -18.3 11.4 5.0
一戸建住宅 -2.0 -8.6 -2.4 3.5 -3.7 64.8 23.3 15.9 12.4 -22.5 -8.8 -4.3
二世帯住宅 -65.9 39.9 43.1 93.0 -35.3 - -11.8 29.6 39.2 - - -4.7
タウンハウス 1.8 -9.2 -11.9 -10.7 -5.2 5.0 11.2 18.3 5.8 -3.5 26.4 1.9
コンドミニアム 11.6 10.5 33.8 21.0 28.0 36.4 -17.9 -8.8 -12.8 -17.8 13.4 7.8
前期比上昇率(%)
全住宅 1.6 0.7 16.3 -3.3 5.0 13.8 -24.0 4.8 -0.8 3.4 3.7 -1.2
一戸建住宅 6.5 -11.3 4.0 5.4 -0.9 51.7 -22.2 -0.9 -3.9 4.6 -8.4 4.0
二世帯住宅 66.5 -17.0 70.3 -18.0 -44.2 - - 20.5 -40.0 - - -
タウンハウス -2.8 -8.3 -2.8 3.1 3.3 1.4 2.9 9.7 -7.7 -7.4 34.8 -11.6
コンドミニアム 0.6 4.9 21.7 -5.8 6.4 11.8 -26.8 4.7 1.7 5.4 1.0 -0.5
地方
前年同期比上昇率(%)
全住宅 0.5 -1.0 4.9 8.3 8.5 17.8 6.4 5.9 0.8 -0.6 4.9 5.1
一戸建住宅 -1.8 -3.4 2.8 5.9 8.4 20.8 6.5 4.2 -0.5 -6.0 -3.8 -0.8
二世帯住宅 7.8 0.8 30.9 30.8 61.2 5.2 -13.3 20.8 -27.9 24.3 13.8 -6.7
タウンハウス 13.9 10.2 14.4 20.4 9.5 13.2 12.0 14.3 9.6 27.2 46.2 34.4
コンドミニアム 6.8 4.7 8.7 9.8 5.5 3.1 3.6 -2.1 4.2 9.6 13.2 19.9
前期比上昇率(%)
全住宅 2.6 -1.9 4.5 2.9 2.8 6.6 -5.6 2.4 -2.1 5.1 -0.4 2.6
一戸建住宅 2.3 -3.3 5.0 2.0 4.7 7.8 -7.5 -0.3 0.0 1.9 -5.3 2.9
二世帯住宅 5.9 -2.8 20.2 5.8 30.5 -36.6 -1.0 47.3 -22.1 9.3 -9.3 20.8
タウンハウス 6.3 2.7 3.0 7.1 -3.3 6.2 1.8 9.3 -7.3 23.3 17.0 0.5
コンドミニアム 1.2 3.0 1.5 3.7 -2.7 0.7 2.0 -2.0 3.5 6.0 5.3 3.8
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、全て改訂値)
注:アパートに関する指数は無。二世帯住宅は報告された不動産融資件数が比較的少ないため、変動的である。


 [2021年第4四半期の新築住宅不動産融資(RREL)の概要]
 当期の全国の新築住宅ローン件数は8,524件で前年同期に比べて11.5%減少したが、前期比では2.0%増加した。地域別では、マニラ首都圏の新築住宅ローン件数は3,189件で前年同期に比べて9.0%減少、前期比でも3.9%減少した。一方、地方は全国の傾向と同様に前年同期比12.9%減、前期比5.9%増の5,335件だった。

 当期の住宅不動産融資の73.5%が新築住宅の購入だった。種類別では、コンドミニアムの購入が44.6%、一戸建住宅が39.3%、タウンハウスが15%、二世帯住宅が0.5%と続いている。。地域別では、首都圏が住宅ローン全体の40.1%を占め、その大部分はコンドミニアムの購入用だった。次いでカラバルソン27.9%、中央ルソン12.0%、中央ビサヤ4.7%、西ビサヤ4.4%、ダバオ4.0%、北ミンダナオ1.6%。これらの7地域で銀行が融資する住宅ローン全体の94.7%を占めた。

 全国の新築住宅の1平米当たり平均評価額は7万4,347ペソ。マニラ首都圏は同11万5,235ペソ。地方は同4万9,905ペソだった。

 新築住宅ローン件数の変化
地域 前年同期比増減率(%) 前期比増減率(%)
20年4Q 21年3Q 21年4Q 20年4Q 21年3Q 21年4Q
全国 -3.6 51.1 -11.5 74.1 32.3 2.0
首都圏 -27.5 35.5 -9.0 43.1 24.2 -3.9
地方 18.8 63.5 -12.9 98.9 38.3 5.9
(出所:中央銀行資料より作成)

 [中央銀行の住宅不動産価格指数(RREPI)について]
 RREPIは、各金融機関の新築住宅購入向け融資のデータなどに基づいた、様々なタイプの住宅価格における平均変動の一つの尺度である。不動産市場や金融市場の動向を分析・把握する上で有益な手段を提供する。BSPは、2015年11月16日の回覧892号で、国内全ての商業銀行(拡大商業銀行含)、貯蓄銀行に住宅不動産融資に関する四半期報告書の提出を義務付けている。そして、2016年第1四半期からRREPIの公表を開始した。