比トヨタ、21年の純利益82%増の60億ペソ
売上高32%増の1,313億ペソ、市場シェア46%
2022/03/30
大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、証券コード:MBT)グループの持株会社GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)はトヨタ車事業に注力している。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式を51%保有しているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。
これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。その中でも、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2021年まで20年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。個別モデル販売ランキングにおいても、表2のとおり常に上位を占めており、2021年は上位6モデル(ヴィオス、ハイラックス、ウイゴー、イノーバ―、フォーチュナー、ラッシュ)を独占している。8位にハイエースがランクされており、上位10モデルのうち7モデルを占めた。
GTCAP事業速報によると、TMPの2021年の卸売ベースの販売台数は前年比(以下同様)30.3%増の12万7,539台、小売ベースの販売台数も29.6%増の12万9,667台と堅調で、業界全体の成長率を大幅に上回った。ちなみに、業界全体の小売販売台数は15.9%増の28万0,338台であった。この結果、TMPの市場シェアは46.3%に達し、前年の41.3%から更に上昇、過去最高を更新し首位の座をさらに強固なものとするとともに、ASEAN市場で最高となっている。
販売台数の増加などによりTMPの売上高は31.5%増の1,313億ペソと2年ぶりに1千億ペソの大台を回復した、大幅増収や増産効果、コスト節減との相乗効果により、帰属純利益は82.2%増の60億ペソに達した。年初の販社トヨタ サンタロサの全株式500万株(1株当たり額面:100ペソ)譲渡に伴う売却益も寄与した。新型コロナウイルス対策としての外出・移動制限が前年よりは緩和されたこともあって大幅増収増益決算となったが、パンデミック直前の2019年に記録した過去最高の収益水準回復には至っていない。
表1.トヨタモーター フィリピン年間業績等の推移(単位:百万ペソ)
(出所:GTキャピタル資料より作成、2021年は速報値)
表2.フィリピン新車販売における上位10車種の推移
(出所:CAMP等の資料から作成)
TMPは、2021年末時点で73の販売店網を有している。そのうち、直営店は6店である。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(BGC)である。
なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し一昨年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。
これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。その中でも、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2021年まで20年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。個別モデル販売ランキングにおいても、表2のとおり常に上位を占めており、2021年は上位6モデル(ヴィオス、ハイラックス、ウイゴー、イノーバ―、フォーチュナー、ラッシュ)を独占している。8位にハイエースがランクされており、上位10モデルのうち7モデルを占めた。
GTCAP事業速報によると、TMPの2021年の卸売ベースの販売台数は前年比(以下同様)30.3%増の12万7,539台、小売ベースの販売台数も29.6%増の12万9,667台と堅調で、業界全体の成長率を大幅に上回った。ちなみに、業界全体の小売販売台数は15.9%増の28万0,338台であった。この結果、TMPの市場シェアは46.3%に達し、前年の41.3%から更に上昇、過去最高を更新し首位の座をさらに強固なものとするとともに、ASEAN市場で最高となっている。
販売台数の増加などによりTMPの売上高は31.5%増の1,313億ペソと2年ぶりに1千億ペソの大台を回復した、大幅増収や増産効果、コスト節減との相乗効果により、帰属純利益は82.2%増の60億ペソに達した。年初の販社トヨタ サンタロサの全株式500万株(1株当たり額面:100ペソ)譲渡に伴う売却益も寄与した。新型コロナウイルス対策としての外出・移動制限が前年よりは緩和されたこともあって大幅増収増益決算となったが、パンデミック直前の2019年に記録した過去最高の収益水準回復には至っていない。
表1.トヨタモーター フィリピン年間業績等の推移(単位:百万ペソ)
年 | 2014年 | 2015年 | 2016年 | 2017年 | 2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | 伸び率 |
売上高 | 104,887 | 114,289 | 155,833 | 185,337 | 158,941 | 168,616 | 99,847 | 131,275 | 31.5% |
粗利益 | 14,629 | 18,299 | 21,072 | 23,059 | 16,620 | 21,143 | 13,022 | 14,545 | 11.7% |
営業利益 | 9,859 | 13,910 | 15,669 | 16,798 | 10,255 | 12,786 | 4,545 | 6,641 | 46.1% |
帰属純利益 | 7,209 | 10,195 | 11,929 | 13,186 | 7,882 | 9,082 | 3,306 | 6,024 | 82.2% |
総資産 | 26,681 | 32,278 | 36,003 | 42,158 | 36,428 | 38,751 | 45,059 | 44,937 | -0.3% |
株主資本 | 11,923 | 15,228 | 17,492 | 19,148 | 15,238 | 15,608 | 9,500 | 12,853 | 35.3% |
表2.フィリピン新車販売における上位10車種の推移
2018年 | 2019年 | 2020年 | 2021年 | ||||
車名 | 販売数 | 車名 | 販売数 | 車名 | 販売数 | 車名 | 販売数 |
トヨタヴィオス | 25,840 | トヨタヴィオス | 33,181 | トヨタヴィオス | 25,290 | トヨタヴィオス | 35,095 |
トヨタフォーチュナー | 23,082 | トヨタハイラックス | 20,846 | トヨタハイラックス | 13,637 | トヨタハイラックス | 18,969 |
トヨタウイゴー | 21,234 | トヨタイノーバ | 20,794 | トヨタウイゴー | 11,853 | トヨタウイゴー | 17,491 |
トヨタハラックス | 18,237 | トヨタフォーチュナー | 19.865 | トヨタイノーバ | 10,551 | トヨタイノーバ | 13,304 |
トヨタイノーバ | 18,175 | 三菱エクスパンダー | 19,089 | トヨタハイエース | 10,362 | トヨタフォーチュナー | 12,982 |
トヨタハイエース | 17,972 | 日産ナバラ | 19,034 | トヨタラッシュ | 10,194 | トヨタラッシュ | 12,564 |
三菱モンテロ | 16,148 | トヨタハイエース | 18,656 | フォードレンジャー | 9,767 | 三菱エクスパンダー | 11,342 |
日産ナバラ | 16,140 | トヨタウイゴー | 18,183 | 日産ナバラ | 9,164 | トヨタハイエース | 10,273 |
三菱ミラージュG4 | 14,810 | 三菱ミラージュG4 | 17,835 | 三菱ミラージュG4 | 8,638 | 三菱L300 | 10,147 |
三菱エクスパンダー | 13,502 | トヨタラッシュ | 15,172 | トヨタフォーチュナー | 8,494 | 日産ナバラ | 9,882 |
TMPは、2021年末時点で73の販売店網を有している。そのうち、直営店は6店である。これらは、トヨタ・マカティ+1支店(トヨタ・ビクータン)、トヨタ・サンフェルナンド(パンパンガ州)+2支店(トヨタ・ブラカン、トヨタ・タルラック)、レクサス・マニラ(BGC)である。
なお、TMPは、1988年8月3日にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル(GTCAP)51%となっている。現在、「ヴィオス」や「イノーバ」を現地生産しているほか、各種乗用車、商用車の輸入販売、国内向け部品販売、部品輸出などを手掛けている。また、販社「レクサス・マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業し一昨年10周年を迎えた「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPCの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。