日本発のAI防災ソリューション、比に展開へ

スペクティのSNS活用危機管理情報システム

2022/04/05

 防災テックベンチャーのSpectee(スペクティ、本社:東京都千代田区)は、4月4日、災害大国・日本発の技術の世界展開に向けた企画提案「フィリピン国 SNS情報を活用したAIリアルタイム危機管理情報システムに係る案件化調査」が、国際協力機構(JICA)の実施する2021年度第2回「中小企業・SDGsビジネス支援事業」に採択されたと発表した。
 
 その発表によるとフィリピンはアジアで最も経済成長著しい国のひとつであるが、日本と同じく、地震や水害など多くの自然災害に見舞われており、2018 年発表の各国の自然災害リスクをランクづけした「世界リスク・インデックス」では、世界で 3 番目にリスクが高いと評価された。また、 2005 年から 2014年までのあいだに、自然災害によってのべ 7500 万人が被災しているという統計もある。フィリピン政府は毎年台風などの災害に備えた予算を計上しているものの、その額は十分とは言えず、技術的イノベーションによる新しい防災対策が切実に求められている。

<スペクティが提案した案件化調査の概要>
 スペクティは、日本国内において、SNSや気象データ、道路・河川カメラなどのデータを収集・解析したうえで危機管理情報を配信し、被害状況を可視化・予測するサービス「Spectee Pro」を提供しており、多くの地方自治体・官公庁・民間企業において採用され、災害時の状況把握に貢献している。このサービスをフィリピン向けにローカライズし、ファクトチェックチームを現地で組成した上で、ビジネスを展開することができるかどうかのフィージビリティ・スタディを行う。フィリピンは英語が通じること、また、若年層が多くSNSを使用する一人あたりの時間も世界でトップレベルに長いことから、本サービスとの親和性は高く、ローカライズの実現可能性は高いと期待される。

 一方、日本とフィリピンの関係は深く、これまでもODAを通じて地震計、気象レーダ、洪水監視システム、LRT監視システム、高速道路監視システム、ハザードマップなどの導入・開発について支援が行われてきた。「Spectee Pro」にそれら多くのデータをつなぎこみ、災害情報に関するプラットフォームとして、様々な情報を一元管理できるようにすることで、これまで積み上げてきた支援の果実をより充実したものにすることができると考えられる。

 スペクティは、「Spectee Pro」をプラットフォームとして情報を一元化し、災害を可視化することで、フィリピンの政府・自治体が状況を迅速かつ正確に把握することをサポートし、一人でも多くの命を救うことが出来ればと考えている。また、防災大国・日本発の技術を、フィリピンを足掛かりにASEANへ、アジアへ、欧米へと展開していくことで、防災対応の世界的なスタンダードを確立することを目指す。

 なお、スペクティは、SNSからの災害・リスク情報の解析で国内トップシェアを誇る防災・危機管理ソリューション『Spectee Pro』を通じて災害関連情報をリアルタイムに配信する他、河川や道路カメラから、衛星データなどを活用したAIによる被害のシミュレーションや予測を行っており、多くの自治体や企業で、防災やBCP、交通や物流の安全やサプライチェーンのリスク管理などを目的に導入が進んでいる。