第1四半期決算発表開始、先陣のアヤラ系BPIは60%増益

総資産10%増の2.4兆ペソ、不良債権比率2.38%(業界3.99%)

2022/04/22

 昨年に続き、新型コロナウイルスパンデミックに伴い、フィリピン証券取引所(PSE)上場企業の業績発表や財務関連資提出が遅れがちである。現時点で、2021年の年次報告書未提出企業も多数ある。そのような状況下で、2022年第1四半期(1月~3月)の決算発表シーズン入りとなった。まず、アヤラ財閥傘下の有力銀行バンク オブ ザ フィリピン アイランズ(証券コード:BPI)が、4月21日、2022年第1四半期の決算速報を発表した。

 BPIの2022年第1四半期の総収入は前年同期比(以下同様)4.3%増の254億ペソ。主力の純金利収入は12.7%増の190億ペソへと二桁増加した。純金利率は11ベイシスポイント改善し3.42%となった。一方、サービス・手数料収入など非金利収入は14.5%減の64億ペソにとどまった。総営業費用は6.5%増の126億ペソへと増加したが、増収効果にくわえ、貸倒引当が30.6%減の25億ペソに減少したこと、税金費用の正常化などで、純利益は59.6%増の80億ペソへと大幅増加した。
 
 2022年3月末の総融資残高は7.1%増の1兆5,000億ペソ。一方、受入預金残高は13.1%増の1兆9,000億ペソ。そのなかで、コストの低い当座預金・貯蓄口座(CASA)預金残高は10.9%増加、定期預金残高は23.3%増加、CASAの全預金残高に占める比率は81.0%となった。また、預貸率(LDR)は77.3%となった。総資産は9.9%増の2兆4,000億ペソ、株主資本は3,000億ペソへと増加した。

 株主資本利益率(ROE)は11.0%、総資産利益率(ROA)は1.36%。バーゼルⅢ基準でのリスク加味自己資本比率(CAR)は17.0%で中央銀行の最低基準10%を大幅に上回っている。補完資本(TIER2)を除いた普通株式中核自己資本(CET1)比率も16.2%と良好で中央銀行の最低基準大幅に上回っている。一方、不良債権(NPL)比率は2.38%で、前年末の2.49%から改善、銀行全体の3.99%、商業銀行全体の3.55%を大幅に下回っている。また、NPL貸倒引当率は149.6%で、前年末の136.1%から上昇した。

 なお、BPIは1851年に創立されたフィリピン最古の銀行であり、昨年創業170周年を迎えた。今年1月1日には、100%子会社であった貯蓄銀行BPIファミリー セービングズ バンク(BFSB)を吸収合併、規模の拡大、効率化、シナジー効果、株主利益の最大化を図りつつある。フィリピン最大級の貯蓄銀行であったBFSBの総資産は2,870億ペソ、受入預金残高は2,350億ペソ、融資残高は2,270億ペソ。行員数は約3,000人であった。

 このBPIが、持続可能な環境に優しい基準に合致した新しい本社を建設する。建設場所はマニラ首都圏マカティ市のアヤラアベニュー、パセオ・デ・ロハス、デ・ラ・ロサ通りの角地で、地上45階、地下7階、高さ224メートル、延床面積は8万9,000平方メートルの規模で、テナントを含め6,500人を収容する。大手不動産企業アヤラランド(証券コード:ALI)との合弁事業でBPIが51%、ALIが49%を所有する。建設コストは136億円と見積もられている。完工は2029年、稼働は2030年と予定されている。