第1四半期の財政赤字、1.4%減の3,168億ペソに

悪化に歯止め、プライマリー赤字14%減の1,675億ペソ

2022/04/28

 フィリピン財務局は4月27日、3月の財政収支速報を発表した。それによると、2022年3月の財政赤字は1,877億ペソとなり、前年同月から赤字が2.0%縮小した。この結果、第1四半期(1月~3月)の累積赤字は3,168億ペソと前年同期から赤字が1.4%減少した。

 3月の歳入は前年同月比(以下、同様)36.0%増の2,939億ペソ。そのうち税収は28.7%増の2,441億ペソ(シェア83%)だった。内訳は、内国歳入庁(BIR)が27.8%増の1,704億ペソ、関税局(BOC)は29.3%増の708億ペソ、その他税収は85.6%減の29億ペソ。また、非税収は88.0%増の498億ペソ(シェア17%)。そのうち、財務局(BTr)の収入は107.2%増の334億ペソと倍増した。これは、政府系企業からの配当の増加や中央銀行の投資益、保証料、フィリピン賭博公社(PAGCOR)からの配当の増加等による。民営化の収益と手数料などその他収入は58.1%増の164億ペソと、軒並み増加した。一方、3月の歳出は18.1%増の4,815億ペソと二桁増、政府系企業への予算面での支援や地方交付税の拠出増加等による。そのうち利払い額は16.5%増の555億ペソと歳出の11.5%を占めた。

【2022年第1四半期】
 第1四半期の累計では、歳入は前年同期比12.6%増の7,844億ペソ。そのうち税収は11.7%増の6,972億ペソ(シェア89%)だった。内訳は、内国歳入庁(BIR)が7.0%増の5,028億ペソ、関税局(BOC)は26.4%増の1,886億ペソ、その他税収が14.0%増の59億ペソ。また、非税収は20.3%増の872億ペソ(シェア11%)。内訳は、財務局(BTr)が23.9%増の487億ペソ、民営化の収益と手数料などその他収入は16.0%増の384億ペソ。一方、歳出は8.2%増の1兆1,012億ペソ。そのうち、利払い額は18.6%増の1,493億ペソで、歳出全体の13.6%を占めた。

 歳出から歳入と利払い費を除外して算出されるプライマリーバランス(PB、基礎的財政収支)に関しては、3月は1,321億ペソの赤字となり、前年同月から赤字が2.0%減少。これにより、第1四半期は1,675億ペソの赤字となり、前年同期から赤字が14.4%縮小した。

 財政収支動向    (単位:億ペソ)
期間 3月 1-3月
2021年 2022年 伸び率 2021年 2022年 伸び率
歳入 2,162 2,939 36.0% 6,965 7,844 12.6%
 税収 1,897 2,441 28.7% 6,240 6,972 11.7%
   内国歳入庁(BIR) 1,334 1,704 27.8% 4,697 5,028 7.0%
   関税局(BOC) 547 708 29.3% 1,492 1,886 26.4%
   その他 16 29 85.6% 52 59 14.0%
 非税収 265 498 88.0% 725 872 20.3%
   財務局(BTr) 161 334 107.2% 393 487 23.9%
   その他 104 164 58.1% 331 384 16.0%
歳出 4,076 4,815 18.1% 10,179 11,012 8.2%
   利払い 477 555 16.5% 1,259 1,493 18.6%
    その他 3,599 4,260 18.4% 8,921 9,519 6.7%
財政収支 -1,914 -1,877 赤字2%減 -3,215 -3,168 赤字1%減
プライマリーバランス -1,438 -1,321 赤字8%減 -1,956 -1,675 赤字14%減
(出所:フィリピン財務局資料より作成)

 フィリピン財政赤字と対GDP比率推移   (単位:億ペソ)
項目 年間実績推移
12年 13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年
財政赤字 2,428 1,641 731 1,217 3,534 3,506 5,583 6,602 13,714 16,701
対GDP比 2.3% 1.4% 0.6% 0.9% 2.4% 2.2% 3.2% 3.5% 7.6% 8.6%
(出所:フィリピン財務局資料より作成)