21年の平均失業率7.8%、前年10.3%からは改善

年内にパンデミック以前と同水準の5%台目指す

2022/05/05

 フィリピン統計庁(PSA)は、5月2日、2021年年間の雇用統計速報値を発表した。

 その発表によると、2021年平均失業率は7.8%で、2020年の10.3%からは2.5%ポイント改善した。不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)率は15.9%で、2020年の16.2%から小幅改善した。

 算出基準が変更されており単純な比較はできないが、新型コロナウイルスパンデミックが発生した2020年は、現行算出方式での継続的な記録の残る1993年以降の年間ベースで最悪となった。そして、最良であった2019年の5.1%から一転、最悪となってしまった。2021年はそれとの比較では改善したが、パンデミック以前と比べるとかなり高い水準である。

 貿易産業省、NEDA、労働雇用省などは、「失業率を更に低下させ、パンデミック以前の5%~5.5%へ低下させることを目標にしている。そのために更なる産業振興、雇用創出を図っていく」と表明している。そして、労働雇用省のサントス・ベナビデス次官は、5月4日、「2022年末までに、パンデミック以前の様な5%台へ低下する可能性はある」とコメントした。表2のとおり、2021年11月と12月は6%台に低下、2022年1月と2月もパンデミック発生以降の最低である6.4%となっている。


 表1.フィリピンの就業率・失業率推移(年間平均ベース、2020年と2021年は速報値)
年月 2016年 2017年 2018年 2019年  2020年(速報)  2021年(速報) 
15歳以上人口(千人) 68,311 69,891 71,339 72,143  73,733   75,300
労働力参加率 63.5% 61.2% 60.9% 61.3% 59.5%  63.3%
就業率 94.6% 94.3% 94.7% 94.9% 89.7%  92.2%
失業率 5.4% 5.7% 5.3% 5.1%  10.3%  7.8%
不完全就業率 18.3% 16.1% 16.4% 13.8 % 16.2%  15.9%
 (出所:フィリピン統計庁資料などより作成)

 表2.2021年の就業率・失業率推移(月間ベース、全て速報値)
フィリピン全国   2021年
1月 2月 3月 4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月
労働力参加率 60.5 63.5 65.0 63.2 64.6 65.0 59.8 63.6 63.3 62.6 64.2 65.1
就業率 91.3 91.2 92.9 91.3 92.3 92.3 93.1 91.9 91.1 92.6 93.5 93.4
不完全就業率 16.0 18.2 16.2 17.2 12.3 14.2 20.9 14.7 14.2 16.1 16.7 14.7
失業率 8.7 8.8 7.1 8.7 7.7 7.7 6.9 8.1 8.9 7.4 6.5 6.6
平均週労働時間 39.3 38.9 39.7 38.0 39.0 39.0 41.8 39.6 40.2 39.7 39.6 39.7
(出所:フィリピン統計庁資料より作成)