3月の失業率5.8%、パンデミック以降の最低水準

就業者4%増の4,698万人、不完全就業率15.8%

2022/05/08

  フィリピン統計庁(PSA)は5月6日、2022年3月の労働力調査(LFS)速報を発表した。それによると、2022年3月の15歳以上の失業率は5.8%(速報値)で前月から0.6%ポイント改善、前年同月からは1.3%ポイント改善した。

 2022年3月の失業率は新型コロナウイルス感染症(COVID-19)パンデミック直前である2020年1月の5.3%(2020年2月と3月の公式発表行われず、当時は年4回の発表)以来の低水準となった。そして、パンデミック発生後の最悪となった2020年4月の17.7%からは大幅改善した。

 フィリピンの労働力調査結果の比較
年月 2021年3月 2022年1月 2022年2月 2022年3月
労働参加率(%) 65.0 60.5 63.8 65.4
就業率(%) 92.9 93.6 93.6 94.2
不完全就業率(%) 16.2 14.9 14.0 15.8
失業率(%) 7.1 6.4 6.4 5.8
平均週労働時間 39.7 41.8 40.8 40.6
(出所:PSA資料より作成、2021年のみ確定値、2022年は速報値)

 2022年3月の15歳以上の人口7,626万人のうち、労働力人口は前年同月比(以下同様)2.2%増の推定4,985万人で、労働参加率は65.4%となり、前年同月から0.4%ポイント、前月から1.6%ポイント上昇した。就業者数は3.6%増の推定4,698万人、就業率(雇用率)は94.2%と前年同月を1.3%ポイント上回った。防疫措置の緩和が寄与した。就業者を業種別に分類すると、農業部門が25.2%(前年同月24.6%)、鉱工業部門が17.4%(同19.4%)、サービス部門が57.4%(同56.0%)であった。

 就業形態は、賃金労働者が全体の61.5%を占め、その47.8%が民間企業労働者、9.4%が政府系企業社員・公務員だった。自営・事業主は全体の30.1%、無給家内労働者は8.4%。また、週平均労働時間は40.6時間で、前年同月の39.7時間を上回った。フルタイム就業者(週40時間以上勤務)は就業者全体の65.5%(前年同月62.2%)。

 不完全就業者(就業者であっても十分な労働時間に満たず追加の仕事を求めているパートタイム労働者)数は1.2%増の推定742万人で、不完全就業率は15.8%(前年同月16.2%)。不完全就労者全体の62.8%が労働時間週40時間以下だった。
 
 失業者数は16.4%減の推定288万人。年齢層でみると、15歳-24歳が全体の29.3%、25歳-34歳が35.6%と合計で全体の64.9%を占めた。学歴別では、中学校進学・卒業者の割合は38.4%(卒業者は29.9%)、大学進学・卒業者では36.9%(卒業者は27.1%)だった。性別では、男性54.5%、女性45.5%と男性が上回っている。