今回の総選挙絡みの暴力事件、大幅減少ペース

投票前日までの4カ月間で前回比88%減の16件

2022/05/10

  今回の選挙は現時点では、比較的平穏、平和的に進められつつあり、選挙がらみの暴力事件や殺人事件が大幅減少ペースとなっている。

 フィリピンでは、3年毎に下院議員選挙、上院議員の半数改選、地方首長選挙を合わせた中間選挙、6年毎に大統領選を含めた統一総選挙が行われる。2022年は総選挙の年であり、総計2万近いポストが5月9日(月)の投票によって争われた。

 銃火器類の携帯禁止措置など様々な禁止事項などを含む所謂「選挙期間」は、1月9日からスタートし、投票日の1カ月後の6月8日まで約5カ月間続く。長期に亘るフィリピンの選挙のネガティブな特徴として暴力事件の多発が挙げられてきた。特に地方においては、有力者一族間の熾烈な対立関係に起因する暴力事件や殺人事件が多発してきた。2010年の総選挙において、ミンダナオ島マギンダナオ州で立候補届提出に向かった候補者一族やメディア関係者約60名が、対立陣営によって虐殺されるという事件もあった。

 5月8日付けフィリピン通信社報道によると、今回の総選挙戦の5月8日までの約4カ月間にフィリピン国家警察(PNP)が検証した選挙絡みの暴力事件は16件で、前回2016年の総選挙での133件から88%減少、2019年の中間選挙での90件からも82%の減少となっている。今回、銃火器類の携帯禁止違反での逮捕者は3,081人、押収された銃火器類は2,459点となっているが、2016年、2019年に比べ各々約50%減少ペースとのことである。

 なお、民間調査機関によると、2004年の総選挙での暴力事件は234件、死者は149人、2010年の総選挙での暴力事件は265件、死者は213人であったとのことである。