中央銀行、5月19日に利上げ決定の可能性

第1四半期GDP8.3%成長やインフレ高進受けて

2022/05/13

 フィリピン中央銀行(BSP)の利上げ時期が早まる見込みであり、5月19日開催のBSP金融委員会(MB)政策定例会合において、0.25%程度の政策金利引き上げが決定されるとの観測も浮上している。

 これまでは、5月19日のMB定例会合では利上げが見送られ、6月14日~15日に開催される米国連邦公開市場委員会(FOMC)での引き締めスタンスを確認、その後の6月23日のMB定例会合で利上げに動くとの見方が多かったが、5月12日に発表されたフィリピンの2022年第1四半期のGDP成長率が8.3%へ加速、事前予想コンセンサスの6.7%を大幅に上回ったことで、5月19日の利上げの可能性を否定できない状況となっている。

 BSPは、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。2022年のMB定期政策会合は、2月17日、3月24日、5月19日、6月23日、8月18日、9月22日、11月17日、12月15日開催と予定されている。1月、4月、7月、10月は開催されない。金融政策は基本的には、このMB定例会合において決定されるが、急を要するときはMB臨時会合が開催され、金融政策が変更されることもある。

 なお、5月5日に発表された2022年4月の消費者物価指数(CPI、2018年=100)は4.9%となり、現行基準(2018年基準)で最高となり、2018年12月の5.1%(2012年基準)以来、40カ月ぶりの高水準となった。そして、2022年のインフレ目標(消費者物価上昇率2~4%)達成が困難になりつつある。BSPも既に3月24日に、2022年の年間インフレ率予想を4.3%へと上方修正、2022年のインフレ目標達成は難しいと見ている。

 2022年3月の生産者物価指数(PPI、2018年=100)は、前年同月に比べ5.0%上昇、7カ月連続で前年同月を上回った。そして、現行基準(2018年基準)での最大上昇率となった。また、2022年3月の全国総合卸売物価指数(GWPI、2012年=100)は7.6%上昇で、前月(+5.6%)から更に加速し、基準年が1998年から2012年に変更された2019年7月以降で最大の上昇率となった。CPI、PPI、GWPIともに、それぞれ現行基準での最大の上昇率を記録するに至っている。

 フィリピンのインフレ率推移(2018年基準と2012年基準との比較)
2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年予  2023年予
2018年基準 N.A.    N.A.   N.A.  N.A.   2.4%  2.4%  3.9%  4.3%  3.6% 
2012年基準 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%
(出所:PSA資料などより作成、2022年と2023年予想はBSPの3月24日時点の予想)