比トヨタ、第1四半期売上24%増の421億ペソ

コスト増のなか帰属純利益21億ペソと高水準

2022/05/18

  大手商業銀行であるメトロポリタンバンク&トラスト(メトロバンク、証券コード:MBT)グループの持株会社GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)がトヨタ車事業を強化してきている。GTCAPは、トヨタ自動車の製造・販売拠点であるトヨタモーター フィリピン(TMP)の株式保有比率を51%に高めているほか、有力販社であるトヨタ マニラベイ(TMBC)の58.05%を保有している。さらに、2014年9月には、トヨタ ファイナンシャルサービス フィリピン(TFSPC)株式40%を取得した。

 これらのトヨタ関連各社は各々存在感を強めている。特に、TMPの強さが際立っている。新車販売シェアは断トツであり、2021年まで20年連続でフィリピン自動車市場の三冠王(総販売台数、商用車販売台数、乗用車販売台数いずれもトップ)となっている。個別モデル販売ランキングにおいても、常に上位を独占している。

 5月17日発表のGTCAPの2022年第1四半期(1月~3月)事業報告書によると、TMPの2022年第1四半期の卸売ベースの販売台数は前年同期比(以下同様)18.2%増の3万9,685台、小売ベースの販売台数も12.5%増の3万7,230台へと二桁増加した。業界全体では0.8%増の7万5,194台と微増にとどまったことから、TMPの市場シェアは49.5%に達し、前年同期の44.4%から更に大幅上昇、断トツの座をさらに強固なものとした。
 
 これらの結果、TMPの売上高は24.2%増の421億ペソに達した。新型コロナ対策のための外出・移動制限の段階的な緩和、新型モデル投入、市場シェア拡大などで二桁増収となった。ペソ安デメリットや各種コスト上昇で、粗利益は4.6%増の44億ペソ、帰属純利益は4.1%増の21億ペソと一桁増益であったが、前年の大幅増収増益に続く続伸である。売上高、粗利益、帰属純利益ともに、新型コロナパンデミック前の2019年第1四半期を大幅に上回っている。

 TMPは1988年8月にトヨタ自動車のフィリピン車両製造/販売拠点として設立された。現在の出資比率はトヨタ自動車34%、三井物産15%、GTキャピタル ホールディングスとなっている。現在、全国に73の販売代理店を有している。また、販社「レクサス マニラ」を通じて、ハイブリッド車を含む各種レクサス車の輸入販売を行っている。2009年1月に開業した「レクサス・マニラ」は三井物産との合弁企業であり、TMPの出資比率は75%、三井物産の出資比率が25%となっている。


表1.トヨタモーター・フィリピンの第1四半期業績比較 (単位:百万ペソ、21年は速報値)
19年第1四半期  20年第1四半期 21年第1四半期  22年第1四半期   伸率
売上高  33,751 28,773 33,924 42,147  24.2%
粗利益  4,060 3,745  4,210 4,402  4.6%
営業利益  2,454 1,982  2,287 2,473  8.1%
帰属純利益  1,782 1,431  1,988 2,070  4.1%
(出所:GTキャピタル事業報告書などより作成)

表2.トヨタモーター フィリピン年間業績等の推移(単位:百万ペソ)
2014年 2015年 2016年 2017年 2018年 2019年  2020年 2021年  伸び率
売上高 104,887 114,289 155,833 185,337 158,941 168,616 99,847 131,275  31.5%
粗利益 14,629 18,299 21,072 23,059 16,620 21,143 13,022 14,545  11.7%
営業利益 9,859 13,910 15,669 16,798 10,255 12,786 4,545 6,641  46.1%
帰属純利益 7,209 10,195 11,929 13,186 7,882 9,082  3,306 6,024  82.2%
総資産 26,681 32,278 36,003 42,158 36,428 38,751 45,059 44,937  -0.3%
株主資本 11,923 15,228 17,492 19,148 15,238 15,608  9,500 12,853  35.3%
(出所:GTキャピタル資料より作成、2021年は速報値)