第1四半期の経常収支、赤字150倍の48億ドルへ悪化

貿易赤字急拡大響く、OFW送金での相殺は困難に

2022/06/20

  フィリピン中央銀行(BSP)は6月17日、国際通貨基金(IMF)の国際収支マニュアル第6版(BPM6)に準拠した、2022年第1四半期(1月~3月)の国際総合収支(BOP)統計の詳細速報を発表した。

<貿易赤字急拡大で経常収支悪化>
 2022年第1四半期の経常収支の赤字額は48億0,800万米ドル(対GDP比率5%に相当)に達し、前年同期の3,200万米ドルから150倍へと急拡大した。輸入急増にともなう物品貿易赤字が49%増の164億米ドルに拡大し、OFW(海外フィリピン人就労者)送金ではカバー出来なくなっている。ただし、金融収支の純流入への転換により、国際総合収支(BOP)は4億9,500万米ドルの黒字となり、前年同期の28億4,400万米ドルの赤字から改善した。

<総外貨準備高(GIR)>
 2022年3月末現在の外貨準備高(GIR)は、前年同月末比2.7%増の1,073億1,000万米ドルと小幅増。輸入の9カ月分、元本ベース短期対外負債の7.7倍、残存ベース短期対外負債の4.7倍に相当する水準である。

<為替相場>
 為替は2022年第1四半期の加重平均が1米ドル=51.530ペソで、前期の加重平均1米ドル=50.450ペソから2.1%のペソ安、前年同期の1米ドル=48.280ペソから6.3%のペソ安になった。

 国際総合収支の詳細内訳(単位:百万米ドル、増減率表示はBSP方式による)

項目 第1四半期
21年 22年 増減率(%)
経常収支 -32 -4,808 -14,915.3
   対GNI比(%) - -4.8 -
   対GDP比(%) - -5.0 -
 貿易・サービス・第一次所得収支 -7,036 -12,007 -70.6
  貿易・サービス収支 -7,608 -13,157 -72.9
     対GNI比(%) -8.2 -13.1 -
     対GDP比(%) -8.4 -13.8 -
    物品貿易収支 -10,966 -16,353 -49.1
      対GNI比(%) -11.8 -16.3 -
      対GDP比(%) -12.1 -17.1 -
     輸出 12,981 14,450 11.3
     輸入 23,947 30,803 28.6
   サービス収支 3,358 3,195 -4.8
      輸出 7,799 8,666 11.1
      輸入 4,441 5,470 23.2
   第一次所得収支 572 1,151 101.1
 第二次所得収支 7,004 7,198 2.8
資本移転等収支 17 -20 -217.3
 
金融収支(マイナス勘定) 4,092 -4,944 -220.8
 直接投資 -2,027 -1,391 31.4
 証券投資 7,967 298 -96.3
 金融派生商品 -99 -219 -120.6
 その他投資 -1,748 -3,632 -107.8
 
誤差脱漏 1,263 379 -70.0
 
国際総合収支 -2,844 495 117.4
  対GNI比(%) -3.1 0.5 -
  対GNI比(%) -3.1 0.5 -
 
参考:OFW等の個人送金額合計 8,454 8,646 2.3
 うち銀行経由分 7,593 7,771 2.4
(出所:BSP資料より作成、注:全て速報値、
注:金融収支のプラス(マイナス)残高は純流出(純流入)を意味している。