今年の経常収支、赤字2.8倍の191億ドル(GDP比4.6%)へ
23年は205億ドルと更に悪化見込み:中央銀行最新予想
2022/06/20
フィリピン中央銀行(BSP)金融委員会は、6月16日、2022年及び2023年の経常収支と国際収支(BOP)予想修正を承認した。ロシアによるウクライナ侵攻、中国経済の減速、米国や他の主要経済国での急激な金融引き締めなど背景に、双方の予想ともに下方修正された。ちなみに、2022年第1四半期の経常収支の赤字額は48億0,800万米ドル(対GDP比率5%に相当)に達し、前年同期の3,200万米ドルから150倍へと急拡大した(詳細別掲)。
具体的には、今後も貿易赤字拡大に伴う経常収支悪化傾向が続くと予想、2022年の年間経常収支赤字予想をこれまでの163億米ドル(対GDP比率3.8%)から191億米ドル(同4.6%、前年比2.8倍)へと修正した。2023年の年間赤字予想についても、これまでの171億米ドル(同3.7%)から205億米ドル(同4.4%)へと修正した。
経常収支の赤字拡大などにより、2022年国際総合収支(BOP)予想については、これまでの43億米ドルの赤字(GDP比1.0%)から、63億米ドルの赤字(同1.5%)へと修正された。2023年のBOP赤字予想については、これまでの26億米ドル(同0.6%)が継続された。かつては、OFW(海外フィリピン人就労者)送金が貿易赤字を完全にカバーし、経常収支、BOPともに黒字継続という時期もあったが、貿易赤字が拡大しすぎて、OFW送金での相殺は難しくなっている。
なお、2021年に66.5%減となった観光・旅行収入は、2022年2月以降の外国人観光客の入国制限の緩和と経済再開などにより、2022年は100%増加、2023年は150%増加と予想されている。OFW送金は2022年、2023年ともに4.0%増加と予想されているが、2021年の5.1%増からは減速すると見られている。
2022年の総外貨準備高(GIR)は、年末ベースで過去最高となった2020年末の1,101億米ドルから減少し、2022年末は1,050億米ドル、2023年末は1,060億米ドルと予想されている。これまでの予想である2022年1,080億ドル、2023年1,090億ドルから各々下方修正された。
2022年第2四半期(2Q)時点でのフィリピン国際収支予想(単位:億米ドル、%)
(出所:BSP資料より作成、実績は速報値、FDI:外資直接投資、FPI:外資証券投資)
注:金融収支のプラス(マイナス)残高は純流出(純流入)を意味している。
フィリピン対外収支過去の推移(単位:百万米ドル)
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成、2021年は速報値)
具体的には、今後も貿易赤字拡大に伴う経常収支悪化傾向が続くと予想、2022年の年間経常収支赤字予想をこれまでの163億米ドル(対GDP比率3.8%)から191億米ドル(同4.6%、前年比2.8倍)へと修正した。2023年の年間赤字予想についても、これまでの171億米ドル(同3.7%)から205億米ドル(同4.4%)へと修正した。
経常収支の赤字拡大などにより、2022年国際総合収支(BOP)予想については、これまでの43億米ドルの赤字(GDP比1.0%)から、63億米ドルの赤字(同1.5%)へと修正された。2023年のBOP赤字予想については、これまでの26億米ドル(同0.6%)が継続された。かつては、OFW(海外フィリピン人就労者)送金が貿易赤字を完全にカバーし、経常収支、BOPともに黒字継続という時期もあったが、貿易赤字が拡大しすぎて、OFW送金での相殺は難しくなっている。
なお、2021年に66.5%減となった観光・旅行収入は、2022年2月以降の外国人観光客の入国制限の緩和と経済再開などにより、2022年は100%増加、2023年は150%増加と予想されている。OFW送金は2022年、2023年ともに4.0%増加と予想されているが、2021年の5.1%増からは減速すると見られている。
2022年の総外貨準備高(GIR)は、年末ベースで過去最高となった2020年末の1,101億米ドルから減少し、2022年末は1,050億米ドル、2023年末は1,060億米ドルと予想されている。これまでの予想である2022年1,080億ドル、2023年1,090億ドルから各々下方修正された。
2022年第2四半期(2Q)時点でのフィリピン国際収支予想(単位:億米ドル、%)
年 | 実績 | 2022年予想 | 2023年予想 | |||
21年 | 22年1Q | 22年1Q時点 | 22年2Q時点 | 22年1Q時点 | 22年2Q時点 | |
国際総合収支(億米ドル) | 13 | 5 | -43 | -63 | -26 | -26 |
対GDP比 | 0.3% | 0.5% | -1.0% | -1.5% | -0.6% | -0.6% |
経常収支(億米ドル) | -69 | -48 | -163 | -191 | -171 | -205 |
対GDP比 | -1.8% | -5.0% | -3.8% | -4.6% | -3.7% | -4.4% |
物品輸出増減率 | 12.4% | 11.3% | 7.0% | 7.0% | 6.0% | 6.0% |
物品輸入増減率 | 31.7% | 28.6% | 15.0% | 18.0% | 6.0% | 6.0% |
サービス輸出増減率 | 5.7% | 11.1% | 11.0% | 11.0% | 9.0% | 9.0% |
サービス輸入増減率 | 8.3% | 23.2% | 12.0% | 13.0% | 8.0% | 8.0% |
BPO収入増減率 | 9.5% | 5.6% | 8.0% | 8.0% | 5.0% | 5.0% |
観光・旅行収入増減率 | -66.5% | 95.4% | 100.0% | 100.0% | 150.0% | 150.0% |
OFW現金送金増減率 | 5.1% | 2.4% | 4.0% | 4.0% | 4.0% | 4.0% |
金融収支(億米ドル) | -69 | -49 | -109 | -118 | -134 | -168 |
純FDI、負債(億米ドル) | 105 | 24 | 110 | 110 | 118 | 120 |
純FPI、負債(億米ドル) | -14 | 10 | 40 | 45 | 67 | 67 |
総外貨準備高(億米ドル) | 1,088 | 1,073 | 1,080 | 1,050 | 1,090 | 1,060 |
注:金融収支のプラス(マイナス)残高は純流出(純流入)を意味している。
フィリピン対外収支過去の推移(単位:百万米ドル)
年 | 14年 | 15年 | 16年 | 17年 | 18年 | 19年 | 20年 | 21年 |
経常収支 | 10,756 | 7,266 | -1,199 | -2,143 | -8,877 | -3,047 | 11,578 | -6,922 |
対GNI比 | 3.2% | 2.1% | -0.3% | -0.6% | -2.3% | -0.7% | 3.0% | -1.7% |
対GDP比 | 3.6% | 2.4% | -0.4% | -0.7% | -2.6% | -0.8% | 3.2% | -1.8% |
貿易・サービス収支 | -12,754 | -17,854 | -28,506 | -31,522 | -39,364 | -36,272 | -19,909 | -39,608 |
対GNI比 | -3.8% | -5.2% | -8.1% | -8.6% | -10.3% | -8.7% | -5.1% | -9.7% |
対GDP比 | -4.3% | -5.8% | -8.9% | -9.6% | -11.3% | -9.6% | -5.5% | -10.1% |
国際総合収支 | -2,858 | 2,616 | -1,038 | -863 | -2,306 | 7,843 | 16,022 | 1,345 |
対GNI比 | -0.9% | 0.8% | -0.3% | -0.2% | -0.6% | 1.9% | 4.1% | 0.3% |
対GDP比 | -1.0% | 0.9% | -0.3% | -0.3% | -0.7% | 2.1% | 4.4% | 0.3% |
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