0.25%の追加利上げ決定、23日の中銀金融政策会合で

翌日物借入金利2.5%に、8月18日の次回会合も注目

2022/06/24

   フィリピン中央銀行は(BSP)は、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。6月23日、2022年4回目のMB政策定例会合が開催された。

 今年4回目のMB政策定例会合では、前回の5月19日に続き、政策金利体系の0.25%引き上げが決定された。すなわち、主要政策金利である翌日物借入金利(RRP)2.50%を中心とする2.00%~3.00%という金利コリドーに移行されることになった。5月18日までは、2016年に中央銀行が金利コリドー制を導入して以降の最低水準であるRRP2.00%を中心とする1.50%~2.50%という金利コリドーが、2020年12月17日以来11会合連続で継続されてきたが、インフレ高進対応策として前回、今回と連続での0.25%引き上げが決定された。

 6月5日に発表された2022年5月の消費者物価指数(CPI、2018年=100)が5.4%となり、2018年11月の6.1%以来、3年半ぶりの高水準となった。そして、2022年と2023年のインフレ目標(消費者物価上昇率2~4%)達成が困難になりつつある。BSPは6月23日に、2022年の年間インフレ率予想をこれまでの4.6%から5.0%へと更に上方修正した。2023年予想についても、同じく3.9%から4.2%へと更に上方修正した。すなわち、BSPも2年連続でインフレ目標の上限を突破すると見ている。

 MBは今回の政策金利の引き上げを決定するにあたり、インフレ率予想が4月時点から一段と高まり、インフレ圧力の上昇が続く可能性があることを重視した。国際商品市況上昇、国内の魚類等の供給不足、一部の地域での予想よりも高い最低賃金引き上げなど、インフレ圧力要因は多い。したがって、インフレ圧力やインフレ期待を緩和するための利上げを決定した。その一方、金融引き締めによる世界景気の減速や国内での新型コロナ感染再拡大など景気下振れリスクもある。したがって、今回も利上げ幅を0.25%にとどめた。

 次回のMB政策定例会合は、8月18日に開催予定である。大幅追加利上げ決定が予想される7月26日~27日の米国連邦公開市場委員会(FOMC)後の開催であり、非常に注目される会合となる。BSPは、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。2022年のMB定期政策会合は、2月17日、3月24日、5月19日、6月23日、8月18日、9月22日、11月17日、12月15日に開催と予定されている。

 
 フィリピンのインフレ率推移(2012年基準と2018年基準との比較)

2015年 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年 2021年  2022年予  2023年予  2024年予
2018年基準 N.A.    N.A.   N.A.  N.A.   2.4%  2.4%  3.9%  5.0%  4.2%  3.3% 
2012年基準 0.7% 1.3% 2.9% 5.2% 2.5% 2.6% 4.5% N.A.    N.A.     N.A.   
インフレ目標 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4% 2~4%  2~4%  2~4%  2~4%
(出所:PSA資料などより作成、2022年と2023年予想はBSPの6月23日時点の予想)