住宅価格、第1四半期5.6%上昇:中銀調査

コンドミニアム14.7%上昇、一戸建て2.5%下落

2022/06/24

   フィリピン中央銀行(BSP)は6月23日、2022年第1四半期(1月~3月)の住宅の不動産価格指数(RREPI)を発表した。

 [2022年第1四半期の住宅不動産価格指数(RREPI)の動向]
  RREPIデータに基づくと、第1四半期の全国の住宅価格指数は、タウンハウスやコンドミニアムの持続的な需要により、前年同期から5.6%上昇した。しかし、対前期比では1.0%の低下だった。

 住宅の種類別では、タウンハウスとコンドミニアムの価格上昇が全国の住宅不動産価格を引き上げた。全国のタウンハウスの価格は前年同期比25.6%上昇、二世帯住宅は同20.9%上昇、コンドミニアムは同14.7%上昇した。一方、一戸建住宅の価格は同2.5%下落した。

 地域別で見ると、首都圏の住宅価格は前年同期比9.5%上昇した。コンドミニアム及びタウンハウスの価格上昇が一戸建て、二世帯住宅の値下りを相殺した。対前期比では3.5%の上昇だった。一方、地方の住宅価格は前年同期比5.0%上昇したが、対前期比では2.1%下落した。

 フィリピン住宅不動産価格指数・上昇率推移 (2014年第1四半期=100)

年・時期 2020年 21年  22年 
1Q 2Q 3Q 4Q 1Q 2Q 3Q 4Q 1Q
全国
前年同期比上昇率(%)
全住宅 12.6 26.6 -0.4 0.8 -4.2 -9.4 6.3 4.9 5.6
一戸建住宅 7.3 23.4 7.4 4.7 0.2 -7.4 -4.2 -1.1 -2.5
二世帯住宅 38.3 0.8 -8.8 20.0 -20.7 28.9 -0.2 -10.2 20.9
タウンハウス 5.6 10.8 12.0 16.1 8.3 15.1 37.1 22.6 25.6
コンドミニアム 23.6 30.1 -15.0 -8.4 -10.7 -14.3 13.6 10.4 14.7
前期比上昇率(%)
全住宅 3.5 10.7 -14.1 2.4 -1.6 4.8 0.7 1.1 -1.0
一戸建住宅 4.2 10.5 -8.8 -0.3 -0.3 2.2 -5.7 3.0 -1.7
二世帯住宅 12.6 -32.9 17.1 35.6 -25.6 9.1 -9.3 22.0 0.1
タウンハウス -0.8 4.6 2.2 9.4 -7.4 11.1 21.7 -2.1 -5.1
コンドミニアム 4.6 10.0 -23.0 3.4 2.0 5.5 2.0 0.5 6.0
首都圏(NCR)
前年同期比上昇率(%)
全住宅 18.9 34.3 -12.2 -4.8 -10.0 -18.3 11.4 5.0 9.5
一戸建住宅 -3.7 64.8 23.3 15.9 12.4 -22.5 -8.8 -4.3 -6.8
二世帯住宅 -35.3 - -11.8 29.6 39.2 - - -4.7 -14.6
タウンハウス -5.2 5.0 11.2 18.3 5.8 -3.5 26.4 1.9 5.5
コンドミニアム 28.0 36.4 -17.9 -8.8 -12.8 -17.8 13.4 7.8 15.3
前期比上昇率(%)
全住宅 5.0 13.8 -24.0 4.8 -0.8 3.4 3.7 -1.2 3.5
一戸建住宅 -0.9 51.7 -22.2 -0.9 -3.9 4.6 -8.4 4.0 -6.4
二世帯住宅 -44.2 - - 20.5 -40.0 - - - -46.2
タウンハウス 3.3 1.4 2.9 9.7 -7.7 -7.4 34.8 -11.6 -4.4
コンドミニアム 6.4 11.8 -26.8 4.7 1.7 5.4 1.0 -0.5 8.8
地方
前年同期比上昇率(%)
全住宅 8.5 17.8 6.4 5.9 0.8 -0.6 4.9 5.1 5.0
一戸建住宅 8.4 20.8 6.5 4.2 -0.5 -6.0 -3.8 -0.8 -2.0
二世帯住宅 61.2 5.2 -13.3 20.8 -27.9 24.3 13.8 -6.7 25.6
タウンハウス 9.5 13.2 12.0 14.3 9.6 27.2 46.2 34.4 37.2
コンドミニアム 5.5 3.1 3.6 -2.1 4.2 9.6 13.2 19.9 14.2
前期比上昇率(%)
全住宅 2.8 6.6 -5.6 2.4 -2.1 5.1 -0.4 2.6 -2.1
一戸建住宅 4.7 7.8 -7.5 -0.3 0.0 1.9 -5.3 2.9 -1.3
二世帯住宅 30.5 -36.6 -1.0 47.3 -22.1 9.3 -9.3 20.8 4.9
タウンハウス -3.3 6.2 1.8 9.3 -7.3 23.3 17.0 0.5 -5.3
コンドミニアム -2.7 0.7 2.0 -2.0 3.5 6.0 5.3 3.8 -1.4
(出所:フィリピン中央銀行資料より作成)
注:アパートに関する指数は無。二世帯住宅は報告された不動産融資件数が比較的少ないため、変動的である。

 [2022年第1四半期の新築住宅不動産融資(RREL)の概要]
 当期の全国の新築住宅ローン件数は5,948件で前年同期に比べて9.2%減少、前期比でも30.2%減少した。マニラ首都圏での大幅な減少が響いた。マニラ首都圏の新築住宅ローン件数は1,835件で前年同期に比べて39.3%減少、前期比でも42.5%減少した。一方、地方の新築住宅ローン件数は4,113件で前年同期から16.6%増加した。しかし、前期比では22.9%の減少となった。

 当期の住宅不動産融資の74.3%が新築住宅の購入だった。種類別では、一戸建住宅が47.0%、コンドミニアムの購入が38.0%、タウンハウスが14.4%、二世帯住宅が0.6%と続いている。地域別では、首都圏が住宅ローン全体の33.2%を占め、その大部分はコンドミニアムの購入用だった。次いでカラバルソン32.4%、中央ルソン12.6%、中央ビサヤ5.8%、ダバオ4.7%、西ビサヤ4.6%、北ミンダナオ1.5%。これらの7地域で銀行が融資する住宅ローン全体の94.8%を占めた。

 全国の新築住宅の1平米当たり平均評価額は6万9,757ペソ。マニラ首都圏は同12万0,405ペソ。地方は同4万7,161ペソだった。

 新築住宅ローン件数の変化

地域 前年同期比増減率(%) 前期比増減率(%)
21年1Q 21年4Q 22年1Q 21年1Q 21年4Q 22年1Q
全国 -14.7 -11.5 -9.2 -32.0 2.0 -30.2
首都圏 -22.5 -9.0 -39.3 -13.8 -3.9 -42.5
地方 -6.7 -12.9 16.6 -42.4 5.9 -22.9
(出所:中央銀行資料より作成)

 [中央銀行の住宅不動産価格指数(RREPI)について]
 RREPIは、各金融機関の新築住宅購入向け融資のデータなどに基づいた、様々なタイプの住宅価格における平均変動の一つの尺度である。不動産市場や金融市場の動向を分析・把握する上で有益な手段を提供する。BSPは、2015年11月16日の回覧892号で、国内全ての商業銀行(拡大商業銀行含)、貯蓄銀行に住宅不動産融資に関する四半期報告書の提出を義務付けている。そして、2016年第1四半期からRREPIの公表を開始した。