INGバンク、年内に比リテールバンキングから撤退

シティに続く国際的金融機関による比個人事業廃止

2022/06/27

 オランダの有力銀行であるINGバンクのフィリピン拠点であるINGバンク フィリピン(所在地:マニラ首都圏タギグ市ボニファシオ・グローバルシティ)は、6月24日、2022年末までにリテールバンキング(個人向け事業)から撤退すると発表した。

 INGバンクは、オランダの大手保険会社と銀行の合併により生まれたINGグループの商業銀行である。INGは、1990年にフィリピンに進出、企業および機関投資家向けのサービスを開始した。2018年後半にリテールバンキングを開始し、現在、普通預金、当座預金、および消費者金融事業などで38万人以上の顧客にサービスを提供している。今回、本社方針で、リテールバンキングからの撤退を決定したが、ホールセールバンキングやグローバルシェアードサービス事業(グループ内の間接業務集約事業)は拡大させる方針である。

 なお、米国の大手金融機関シティグループは、2021年4月15日、アジアとEMEA(欧州・中東・アフリカ)の13市場での個人向け事業から撤退する方針を発表した。個人向け事業から撤退する13市場とは、フィリピン、オーストラリア、バーレーン、中国、インド、インドネシア、韓国、マレーシア、ポーランド、ロシア、台湾、タイ、ベトナムである。これらの市場では、法人や機関投資家事業に集中し、個人向け事業はシンガポール、香港、アラブ首長国連邦(UAE)、ロンドンの4拠点で対応する。

 このシティグループの比リテールバンキング事業については、2021年末に、アボイティス財閥の有力銀行ユニオンバンク オブ フィリピン(証券コード:UBP)が取得することで合意、その後取得手続きが進められている。INGバンクの個人向け事業を何れの銀行が取得することになるのかなどとともに、国際的金融機関によるフィリピン個人向け事業からの連続撤退も注目が集まりそうである。