三菱重工グループ等のMRT3号線改修事業に高評価
エンジニアリング功労者賞を受賞、フィリピン側も絶賛
2022/07/24
三菱重工グループの三菱重工エンジニアリング(MHIENG)は、一般財団法人エンジニアリング協会(所在地:東京都港区)が主催する「2022年度エンジニアリング功労者賞」において、多数の推薦案件の中から海外プロジェクトの3案件で表彰を受けた。7月19日には東京都港区の第一ホテル東京で表彰式が行われ、各案件の代表者に表彰状が授与された。
この賞は、エンジニアリング産業に関与し、その活動を通じエンジニアリング産業の発展に著しく貢献したグループ(チーム)および個人を表彰するもので、MHIENGは、海外におけるエンジニアリング活動を通じた「国際貢献」で「マニラ都市圏MRT3号線メンテナンス&システム改修プロジェクト」、「ウズベキスタン肥料プラントプロジェクト」という2案件、エンジニアリング産業における技術力の向上や新分野の開拓等の「エンジニアリング振興」で「大規模ポリエチレンプラント建設プロジェクト」という1案件、合計3案件が受賞した。
<マニラ都市圏MRT3号線メンテナンス&システム改修プロジェクト>
システム稼働率の低下に悩むフィリピン政府の要請を受ける形で、老朽鉄道システムの改修およびメンテナンス業務を、住友商事と三菱重工グループ(MHIENGおよび三菱重工交通・建設エンジニアリング、TESフィリピン)が請け負ったプロジェクトである。改修工事においては、老朽化した車両や電力、信号、通信設備の改修、軌道のレール交換などについて、通常運行を妨げることなく契約納期内に実施し、マニラ市民の生活の大動脈であるMRT3号線を復旧し、安全で快適な市民生活の実現に貢献した。また、改修工事というハード輸出のみならず、その後のメンテナンス業務を引き受けることで、完工後のシステムの信頼性を高めるソフトインフラ輸出という新たな国際貢献の取り組みとなった。
なお、この事業に関しては、フィリピン側も非常に高く評価している。フィリピン運輸省(DOTr)のアーサー・ツガデ前大臣は、「日系企業連合による改修・保守により、MRT3号線が飛躍的に改善、運行も大幅に改善され、利用者は速くて、便利で、快適なMRT3乗車を満喫している」と絶賛した。
ツガデ前大臣は、日系企業連合が再参画する以前(韓国の釜山交通公社などが維持・保守)の酷かった状況を強調し、「釜山交通公社運営時のMRT3は、待ち時間が長い、乗り換えが不便という問題だけでなく、脱線などの事故、故障、運行の中断などが頻繁に発生していた。故障した車両から乗客が次の駅まで線路を歩くという光景も珍しくなかった。この状況は、日系連合による再参画により飛躍的に改善された」と繰り返し称賛してきている。
ツガデ前大臣のもとでDOTrは、JICAの融資や日系企業連合の支援を得て、MRT3の改修と保守に注力、レールや設備を大幅改善し脱線事故を皆無にした。運行車両は以前の10~15編成から23編成へと増加、運行速度は以前の時速30キロ以下から60キロへと向上した。1日あたり輸送能力も30万人から60万人に拡大した。また、すべての駅のエスカレーターやエレベーターも完全に機能するようになった。
MRT3は1970年代に計画され、2000年に全線開業した。住友商事がMHIENG(当時、三菱重工業)をパートナーとして、高架構造物、駅、レール、信号、通信、変電設備、架線、車輌基地、電車を含む、全長17キロメートル、総駅数13駅の都市交通システム一式を建設したプロジェクトである(73両のチェコ製車輌を使用)。当時、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)が輸出信用を供与し、車輌部分にはチェコ輸銀が輸出信用を供与したものである。
保守・維持に関しては、住友商事と三菱重工グループが開業後12年間にわたって実施していた。当時のMRT3の運行は、住友商事と三菱重工によるきめ細やかな日々のメンテナンスサービスに支えられて安全・スムーズに行われていた。しかし、2012年10月に、これら日系企業との運営・保守業務契約が終了、その後、地場企業へ、そして、韓国の釜山交通公社へと変更が行われた。日系企業との契約終了以降に事故や故障の多発が目立つようになった。したがって、DOTrは2018年末、BURI連合との運営・保守契約を打ち切り、2019年初に元の日本企業連合に改修・維持プロジェクトを発注したという経緯がある。
日系連合は、新たな改修・維持プロジェクトにおいて、老朽化などにより稼働率が下落した車輌や設備一式を、通常運行を妨げることなく大規模に改修し、安全で効率的な路線への復旧を実現した。過去のMRT3号線故障の主要因はレールのゆがみに由来しており、改修事業において、日本製鉄八幡製作所製造の18メートルのレールなどに置き換えられた。レール交換は、2019年11月から深夜の運休時間帯に実施された。
なお、日本支援によって改修が成功裏に完了したマニラ首都圏鉄道3号線(MRT3号線)は、感謝を込めて3月28日~6月30日まで乗車料金無料化を実施した。
この賞は、エンジニアリング産業に関与し、その活動を通じエンジニアリング産業の発展に著しく貢献したグループ(チーム)および個人を表彰するもので、MHIENGは、海外におけるエンジニアリング活動を通じた「国際貢献」で「マニラ都市圏MRT3号線メンテナンス&システム改修プロジェクト」、「ウズベキスタン肥料プラントプロジェクト」という2案件、エンジニアリング産業における技術力の向上や新分野の開拓等の「エンジニアリング振興」で「大規模ポリエチレンプラント建設プロジェクト」という1案件、合計3案件が受賞した。
<マニラ都市圏MRT3号線メンテナンス&システム改修プロジェクト>
システム稼働率の低下に悩むフィリピン政府の要請を受ける形で、老朽鉄道システムの改修およびメンテナンス業務を、住友商事と三菱重工グループ(MHIENGおよび三菱重工交通・建設エンジニアリング、TESフィリピン)が請け負ったプロジェクトである。改修工事においては、老朽化した車両や電力、信号、通信設備の改修、軌道のレール交換などについて、通常運行を妨げることなく契約納期内に実施し、マニラ市民の生活の大動脈であるMRT3号線を復旧し、安全で快適な市民生活の実現に貢献した。また、改修工事というハード輸出のみならず、その後のメンテナンス業務を引き受けることで、完工後のシステムの信頼性を高めるソフトインフラ輸出という新たな国際貢献の取り組みとなった。
なお、この事業に関しては、フィリピン側も非常に高く評価している。フィリピン運輸省(DOTr)のアーサー・ツガデ前大臣は、「日系企業連合による改修・保守により、MRT3号線が飛躍的に改善、運行も大幅に改善され、利用者は速くて、便利で、快適なMRT3乗車を満喫している」と絶賛した。
ツガデ前大臣は、日系企業連合が再参画する以前(韓国の釜山交通公社などが維持・保守)の酷かった状況を強調し、「釜山交通公社運営時のMRT3は、待ち時間が長い、乗り換えが不便という問題だけでなく、脱線などの事故、故障、運行の中断などが頻繁に発生していた。故障した車両から乗客が次の駅まで線路を歩くという光景も珍しくなかった。この状況は、日系連合による再参画により飛躍的に改善された」と繰り返し称賛してきている。
ツガデ前大臣のもとでDOTrは、JICAの融資や日系企業連合の支援を得て、MRT3の改修と保守に注力、レールや設備を大幅改善し脱線事故を皆無にした。運行車両は以前の10~15編成から23編成へと増加、運行速度は以前の時速30キロ以下から60キロへと向上した。1日あたり輸送能力も30万人から60万人に拡大した。また、すべての駅のエスカレーターやエレベーターも完全に機能するようになった。
MRT3は1970年代に計画され、2000年に全線開業した。住友商事がMHIENG(当時、三菱重工業)をパートナーとして、高架構造物、駅、レール、信号、通信、変電設備、架線、車輌基地、電車を含む、全長17キロメートル、総駅数13駅の都市交通システム一式を建設したプロジェクトである(73両のチェコ製車輌を使用)。当時、日本輸出入銀行(現国際協力銀行)が輸出信用を供与し、車輌部分にはチェコ輸銀が輸出信用を供与したものである。
保守・維持に関しては、住友商事と三菱重工グループが開業後12年間にわたって実施していた。当時のMRT3の運行は、住友商事と三菱重工によるきめ細やかな日々のメンテナンスサービスに支えられて安全・スムーズに行われていた。しかし、2012年10月に、これら日系企業との運営・保守業務契約が終了、その後、地場企業へ、そして、韓国の釜山交通公社へと変更が行われた。日系企業との契約終了以降に事故や故障の多発が目立つようになった。したがって、DOTrは2018年末、BURI連合との運営・保守契約を打ち切り、2019年初に元の日本企業連合に改修・維持プロジェクトを発注したという経緯がある。
日系連合は、新たな改修・維持プロジェクトにおいて、老朽化などにより稼働率が下落した車輌や設備一式を、通常運行を妨げることなく大規模に改修し、安全で効率的な路線への復旧を実現した。過去のMRT3号線故障の主要因はレールのゆがみに由来しており、改修事業において、日本製鉄八幡製作所製造の18メートルのレールなどに置き換えられた。レール交換は、2019年11月から深夜の運休時間帯に実施された。
なお、日本支援によって改修が成功裏に完了したマニラ首都圏鉄道3号線(MRT3号線)は、感謝を込めて3月28日~6月30日まで乗車料金無料化を実施した。