マルコス氏当選から施政方針演説まで、株価8.1%下落

ドゥテルテ氏当選の同時期は15.1%上昇、対照的な動きに

2022/07/26


 大統領選後の株価とペソ動き(2022年と2016年の比較)
2022年 5月6日 5月10日 5月17日 6月9日 6月30日  7月8日 7月25日
時期のポイント  投票直前  当選判明  当選1週間  当選1カ月  大統領就任  当選2カ月 施政方針演説
PSE株価指数  6,759.90  6,720.93  6,594.66  6,758.59 6,155.43 6,361.82  6,209.53 
変化率  -  -0.57%  -2.44%  -0.02%  -8.94%  -5.89% -8.14%
ペソ対1米ドル  52.500  52.402  52.425 52.950  54.975 55.920  56.100 
 
2016年  5月6日 5月10日 5月17日 6月9日 6月30日 7月8日 7月25日
時期のポイント  投票直前  当選判明   当選1週間 当選1カ月  大統領就任  当選2カ月  施政方針演説
PSE株価指数  6,991.87  7,174.88  7,524.84  7,536.65  7,796.25 7,771.52 8,049.13
変化率  -  +2.62%  +7.62%  +7.79%  +11.50%  +11.15% +15.12%
ペソ対1米ドル 47.090   46.750  46.430  45.917 47.06  47.095  47.195
(出所:PSEや銀行協会資料より作成、変化率は当選決定からの累計)

 2022年大統領選挙(5月9日が投票日で休日)において、5月10日のフェルディナンド・マルコス氏の大統領選圧勝決から7月25日の初の施政方針演説(SONA)まで約2カ月半が経過した。


 この間の株価、ペソ対ドルレートともに下落している。特に、株式市場においては、前回2016年のドゥテルテ氏当選時の祝賀相場とは真逆の動きとなっている。ただし、2022年と2016年は経済環境が全く異なり、2022年の株価やペソ下落は、主に金融・証券市場に大逆風が吹いていることによるものである。
 
 2022年は、ロシアによるウクライナ武力侵攻やそれに伴う原油などの高騰、米国金融政策引き締め加速化の動き、それらに伴う世界的な株式市場変調、フィリピンでも利上げ前倒し実施の動きなど懸念材料が多いなかで選挙・投票が実施された。近年では、2010年の7.3%に次ぐ7.1%という高いGDP成長率7.1%を記録した2016年とは経済環境は正反対ともいえるが、両年の大統領選当選決定後の約2カ月半の推移は上表のとおりである。

フィリピンの代表的な株価指数であるフィリピン証券取引指数(PSEi)は、投票日直前(5月6日)から大統領就任式(6月30日)までの累計変化率は、2022年が8.9%下落、2016年が11.5%上昇、初の施政方針演説(SONA)の7月25日までの約2カ月半については、2022年が8.1%下落、2016年が15.1%上昇となっている。

 ペソ対米ドルについては、2022年が5月6日の1米ドル=52.500ペソから、7月25日の56.100ペソへと約6.42%下落している。2016年の同期間については47.090ペソから47.195ペソへ0.22%の下落にとどまっている。ただし、2022年のペソ安については、世界的なドル高の動きの波及でもあり、ペソだけが下落しているわけではない。