日清食品の即席麺合弁事業、上半期26%増収に

カップ麺首位、売上高48億ペソ、コスト上昇こなし4%増益

2022/08/02

 日清食品グループ(日清グループ)は、フィリピンにおいて、ゴコンウェイ財閥の有力食品企業ユニバーサル ロビーナ(証券コード:URC)との合弁企業「ニッシン ユニバーサル ロビーナ(ニッシンURC、1996年設立、会計期末12月、本社:マニラ首都圏ケソン市)を通じて即席麺(インスタントラーメン)事業を展開、カップ麺ではトップ企業となっている。現在の日清グループのニッシンURC株式保有比率は49%となっている。

 7月29日に発表されたURCの2022年上半期(1月~6月)事業報告書によると、表1のように、ニッシンURCの2022年上半期の売上高は前年同期比(以下同様)26%増の48億0,900万ペソに達した。需要増加と値上げ効果などによる。小麦等の原材料費、燃料費、輸送費などのコスト上昇でEBITDA(税前・償却前・利払い前利益)は横這いの8億2,000万ペソ、純利益は4%増の5億5,600万ペソと損益面ではやや伸び悩んだ。もっとも、新型コロナウイルスパンデミック、ロシアによるウクライナへの武力侵攻等に伴う原燃料価格急上昇という環境下で堅調な業績推移が続いているといえよう。

 表2のように年間ベースでも業績上昇基調が続いてきている。特に近年は1人当たりのGDPや可処分所得が増加したことにともない、より付加価値の高いカップ麺の需要が高まっており、ニッシンURCの主力製品である「カップヌードル」の販売は好調に推移している。ニッシンURCはカップ麺ではトップシェアを誇り、フィリピン即席麺全体の需要の伸びを上回る成長を続けている。フィリピンでは、メリエンダと呼ばれる午後のおやつの習慣があり、メリエンダ向けなどにミニサイズのカップ麺販売も好調である。2020年以降は新型コロナウイルス感染対策としての地域隔離措置の下での外出・移動制限措置や外食事業規制のもとでの家庭内食事(内食)需要や保存食需要、すなわち巣籠り需要が加わったことで、売上拡大に拍車がかかった。


 なお、フィリピンでの袋麺のトップ企業は、「ラッキーミー」ブランドで知られるモンデ ニッシン(証券コード:MONDE)である。社名に「ニッシン」が含まれており紛らわしいが、モンデ ニッシンは現地資本企業であり、日清食品など日本企業との資本関係は全くない。MONDE発表によると、MONDEのフィリピン即席麺市場のシェアは2020年69.2%、2021年が69.5%と断トツ。また、英国の代替肉(植物性たんぱく)メーカー「クオーン」を買収、傘下に収めている。
 

表1.ニッシンURCの上半期業績比較(単位:百万ペソ)
項目 20年上半期 前年同期比 21年上半期 前年同期比 22年上半期 前年同期比
売上高 3,755 +23% 3,818 +2% 4,809 +26%
EBITDA 781 +30% 821 +5% 820 横這い
純利益 479 +30% 533 +11% 556 +4%
(出所:URC第1四半期始業報告書から作成)

 
表2.ニッシンURCの年間業績推移(単位:百万ペソ)
項目 2016年 2017年 2018年 2019年 2020年  2021年 前年比
売上高 4,361 5,103 5,815 6,345 7,406 7,968 +8%
EBITDA 777 890 975 1,156 1,472 1,507 +2%
純利益 475 559 603 717 893 960 +7%
(出所:URC年次報告書から作成)