比ヤクルト販売好調、上半期1日369万本で海外第4位

年間記録(21年の354万本)更新ペース、海外シェア11.8%

2022/08/03

  ヤクルト本社の決算資料などによると、2022年上半期(1月~6月)のフィリピン ヤクルトの一日当り販売数量(速報値)は前年同期比(以下同様)は2.1%増の369万3千本だった。比較対象となる2021年上半期は36.9%増の361万7千本と非常に高い伸びで世界市場で最高の伸び率であったが、2022年上半期はそれを上回る高水準の販売を達成、年間最高記録(21年の1日当たり353万9千本)を更新しそうなペースとなっている。
 
 海外市場ではインドネシアの732万8千本、中国の602万9千本、メキシコの375万本に次ぐ世界第4位であった。ちなみに、海外合計では0.8%減の3,127万3千本、フィリピンのシェアは11.8%で前年同期の11.5%から上昇した。そのうち、アジア・オセアニア合計は2.4%減の2,477万3千本、フィリピンのシェアは14.9%で、前年同期の14.2%から上昇した。

 フィリピンでは、ヤクルト本社が40%出資するフィリピン ヤクルト(持分法適用会社)が、1978年10月から営業を行っており来年に創業45周年を迎える。現在は、ヤクルトとヤクルトライトを製造販売している。2020年末の従業員数は1,376人、ヤクルトレディは3,786人、取引店は11万0,187店、工場(1日当たり生産能力470万本)はラグナ州カランバ市に立地している。日本と同基準の厳しい品質管理の下に製造された「ヤクルト」を1本約20円という低価格で販売している。「ヤクルト」は、医薬品を購入する余力のない低所得層にとって安価な栄養食品であり、庶民の強い味方として知名度も高い。健康飲料として支持を得ている「ヤクルト」の人気が更に高まっているといえよう。
 
 フィリピンでの1日平均販売数量は、2011年から2019年まで9年連続で販売本数が増加、そのうち2014年から2018年までは5年連続の二桁増加という成長を見せた。2007年に1日当たり販売本数は100万3千本と百万本の大台突破、2015年に同213万9千本で二百万本突破、2018年は三百万本台突破と順調に拡大してきている。2020年は世界的な新型コロナパンデミックで10年連続の増加はならなかったが、小幅減少にとどまり、2021年は過去最高記録大幅更新に至った。

 なお、2021年6月、ミンダナオ島北部のミサミス・オリエンタル州エルサルバドール市において、フィリピン第2工場の建設が開始された。この場所はミンダナオ島以南での販売を拡大し、かつビサヤ地方をバックアップできることから、第2工場建設地として決定された。第2工場でも「ヤクルト」と「ヤクルトライト」が生産される。その生産能力は、生産開始時(2023年1月予定)で1日当り160万本、その後順次設備を増強し、最大生産能力は同320万本と予定している。

 ヤクルト海外乳製品売上数量(1日当たり本数、単位:千本、%)

国名 連結
区分
2022年1月~6月(速報値)
売上数量 前年同期比伸び率
フィリピン 持分法 3,693 2.1
台湾 持分法 624 -1.0
香港 連結 330 -21.5
タイ 持分法 2,244 3.7
韓国 持分法 2,471 -9.1
シンガポール 連結 248 -4.3
インドネシア 連結 7,328 3.0
オーストラリア 連結 309 12.9
マレーシア 連結 386 16.3
ベトナム 連結 863 19.9
インド 連結 227 1.5
中東 連結 18 -17.1
ミャンマー 連結 - -
中国 連結 6,029 -12.5
アジア・オセアニア計
(連 結 合 計)
24,773 -2.4
15,741 -3.2
ブラジル 連結 1,431 -1.4
メキシコ 連結 3,750 8.6
米国 連結 626 19.5
米州計 5,808 7.0
ヨーロッパ計 693 -1.6
合        計
(連 結 合 計)
31,273 -0.8
22,241 -0.7
(出所:ヤクルト本社の連結決算発表補足資料より)

 フィリピンヤクルトの1日当たり販売数量推移(単位:千本、%)

13年 14年 15年 16年 17年 18年 19年 20年 21年 22年上半期
数量 1,594 1,877 2,139 2,449 2,762 3,088 3,196 3,030 3,539  3,693
伸び率 6.2 17.7 14.0 14.5 12.8 11.8 3.5 -5.3 16.8 2.1
(出所:ヤクルト本社決算発表補足資料などから作成、22年は上半期速報値)