明日7月のインフレ統計発表、2カ月連続の6%台懸念も

中央銀行5.6~6.4%と推定、金融政策決定に大きな影響

2022/08/04

 フィリピン統計庁(PSA)が、8月5日、2022年7月の消費者物価(インフレ)統計を発表する予定である。

 フィリピン中央銀行(BSP)は、7月29日、PSA発表に先立ち、「2022年7月のインフレ率は5.6%~6.4%の範囲内と推定している」と発表した。BSPは、主要食品の値上がり、交通費の値上がり、ペソ安などがインフレ率上昇圧力となったと見ている。ただ、これらは、石油価格の反落、マニラ電力(メラルコ)の電気料金引き下げ、豚肉値下がりなどで一部相殺されたようだ。

 7月5日に発表された2022年6月の総合インフレ率(消費者物価指数{2018年=100}の前年同月比)は6.1%となり、前月の5.4%から一段と加速、現行基準(2018年基準)導入後の最高を記録するとともに、2018年11月の6.1%以来、3年7カ月ぶりの高水準に達した。上半期の平均総合インフレ率は4.4%で、政府の2022年のインフレ目標(2.0%~4.0%)の上限を超えている。PSAは2022年1月から消費者物価指数の基準年をそれまでの2012年から2018年へと変更した。

 なお、8月18日にはBSP金融委員会(MB)定例政策会合の開催が予定されている。BSPは、現在、年8回のMB定例政策会合を開催しており、今回が2022年5回目の会合となる。MBは7月14日に0.75%の緊急追加利上げを決定した。0.75%の利上げは通常の0.25%の3倍であり、過去最大の上げ幅である。普通は、金利など重要金融政策はMB定例会合において決定される。7月14日の緊急利上げの後の8月18日の定例会合の結果が大いに注目される。この定例会合に7月のインフレ率が大きな影響を及ぼしそうである。