野村不動産、フェデラルランドと合弁企業を設立

資本金480億ペソ、出資比率34%、比各地で積極開発へ

2022/08/10

大手財閥グループ GTキャピタル ホールディングス(証券コード:GTCAP)傘下のフェデラルランド(本社:マカティ市)は、8月7日、「 野村不動産(本社:東京都新宿区)との合弁企業『フェデラルランド NRE グローバル」(FNG)』を設立した」と発表した。

 この合弁企業構想は、今年1月、野村不動産によって発表されている。それらによると、新合弁企業の資本金は約480億ペソ、出資比率は野村不動産約34%(出資額約160億ペソ)、フェデラルランドグループ約66%とされている。本社は、マニラ首都圏マカティ市アヤラ通りGTタワー内とされている。

 FNGは、初期物件として、マニラ首都圏や近郊及びセブで4エリアの開発用地(総面積約250ヘクタール)の組入れを決定しており、総事業費約7,500億円(当初10年の総事業費は2,700億円を予定)の不動産開発事業(分譲住宅:約5万戸、オフィス延床面積:約680万平米、商業施設延床面積:約20万平米)を推進するとともに、今後は4エリア以外でも更なる追加投資を想定している。

 野村不動産グループは、野村不動産ホールディングスの中長期経営計画において、2028年3月期までに海外事業への約3,000億円の投資と、海外事業による利益比率を15~20%まで拡大させる方針を掲げ、これまで中国や東南アジア諸国を中心に積極的な事業参画を進めてきた。2017年からはマニラ首都圏にて、フェデラルランドIと三越伊勢丹ホールディングスと共に、住宅・商業の複合開発プロジェクト「ザ・シーズンズレジデンス」を推進してきた。このような背景から、より強固なパートナーシップを基にしたシナジー効果を追求していくために、両社から不動産開発の専門性を持った人材を派遣した、新しい合弁会社を設立するに至った。

 上記のように、野村不動産は、三越伊勢丹ホールディングス(三越伊勢丹、本社:東京都新宿区)、フェデラルランドと共同でマニラ首都圏タギグ市ボニファシオ・グローバル・シティ(BGC)地区に位置する、フェデラルランドが開発したグランド・セントラルパーク地域において、分譲住宅及び商業施設の不動産複合開発に取り組んでいる。

 「サンシャイン フォート ノースボニファシオ」と名付けられたこの複合施設開発事業は、「グランドハイアット・マニラ」の隣接地での分譲タワーマンション4棟(地下4階~地上最高で51階、合計約1,400戸)と、下層階での商業施設(地下1階~地上3階)を組み合わせた開発であり、日系デベロッパーと日系小売企業参画によるフィリピンで初めての複合開発プロジェクトである。三越伊勢丹が主導する商業施設は約3万平米、そのうち賃貸面積は1万7千平米、テナント数は100以上、施設名は「MITSUKOSHI」となる。

 この合弁事業は、当初、商業施設部分「MITSUKOSHI」が2020年開業、その後タワーマンション4棟が順次竣工、2024年に完工と予定されていた。しかし、新型コロナウイルスパンデミック発生・長期化もあって竣工が遅れている。現時点では、「MITSUKOSHI」の開業は2022年内、2027年もしくはそれ以降に分譲タワー型コンドミニアム4棟が完成と見られている。「MITSUKOSHI」は年内開業に向けての準備に拍車がかけられている。
なお、このプロジェクトは、世界の優れた不動産プロジェクトを表彰する『International Property Award』のResidential High-rise Development分野に於いて、フィリピンの最優秀賞ならびにアジア・パシフィック地域におけるFIVE STARに選出されている。

 なお、フェデラルランドのアルフレッド・テー会長は、野村不動産との合弁事業に関して、「フェデラル ランドの50年間の歴史における重要な節目であり、野村不動産とのパートナーシップをより高いレベルに引き上げることを喜んでいる。独特の日本的スタイルとフィリピンの感性が吹き込まれた持続可能なコミュニティを構築することで、何世代にも亘るポジティブな足跡を残す不動産ソリューションを提供する方針である」とコメントしている。