セメント上場3社、上半期コスト増等で損益悪化

セメックス赤字転落、イーグル24%増収も20%減益

2022/08/18

 フィリピン証券取引所(PSE)上場のセメント3社の2022年上半期(1月~6月)の事業報告書が発表された。

 2022年年初は、COVID-19オミクロン株による感染者急増で外出・移動規制が再強化されるなどのマイナス要因があった。その後はCOVID-19感染が減少、外出・移動規制が緩和され、経済再開が本格化した。しかし、ロシア-ウクライナ間の紛争問題による燃料費の高騰に端を発した生産・物流コストの上昇や対米ドルペソ安による為替損が利益を圧迫し、下表のとおり、3社とも減益あるいは赤字転落となった。

 世界最大のセメント企業であるホルシムグループのフィリピン拠点であるホルシム フィリピン(比ホルシム、証券コード:HLCM)の収入は前年同期比(以下、同様)10.9%減の122億ペソ、純利益は59.4%減の7億ペソと減収減益決算になった。売上高純利益率は5.4%だった。

 メキシコの世界的セメント企業セメックスのフィリピン拠点であるセメックス ホールディングス フィリピン(比セメックス、証券コード:CHP)の収入は2.0%減の107億ペソ、純損益は2億6,700万ペソの赤字。売上高純利益率はマイナス2.5%と3社のうち唯一赤字となった。前年末にフィリピン中南部を襲った大型台風被害も響いた。

 サンミゲルのラモン・アン社長が会長を務めるイーグルセメント(証券コード:EAGLE)の収入は23.7%増の137億ペソに達し、比ホルシムの122億ペソ、比セメックスの107億ペソを上回った。純利益は19.8%減の30億ペソと二桁減となったが、売上高純利益率21.7%となり、収入、純利益額、売上高純利益率ともにトップの座を維持した。

 上場セメント企業3社の2022年上半期決算動向 (単位:百万ペソ)
企業名 収入 伸び率 純利益 伸び率 純利益率
ホルシム フィリピン 12,170 -10.9% 661 -59.4% 5.4%
セメックス フィリピン 10,675 -2.0% -267 赤字転落 -2.5%
イーグルセメント  13,680 23.7% 2,966 -19.8% 21.7%
(出所:各社の2021年年次報告書などより作成)