中央銀行0.50%の追加利上げ、インフレ抑制へ

翌日物借入金利3.75%に、20年3月以来の高水準

2022/08/19

  フィリピン中央銀行は(BSP)は、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。8月18日、2022年5回目のMB政策定例会合が開催された。

 8月18日の今年5回目のMB政策定例会合では、政策金利体系の0.50%の追加引き上げが決定された。すなわち、主要政策金利である翌日物借入金利(RRP)3.75%を中心とする3.25%~4.25%という金利コリドーに移行されることになった。この追加利上げは、8月19日から実施される。そして、RRPは2020年3月19日までの3.75%以来の高水準となる。

 2020年12月17日から今年5月18日までは、2016年に中央銀行が金利コリドー制を導入して以降の最低水準であるRRP2.00%を中心とする1.50%~2.50%という金利コリドーが継続されてきたが、インフレ高進対応策として今年5月19日と6月23日のMB政策定例会合で0.25%ずつの利上げ、更に7月14日の臨時会合での0.75%の大幅緊急利上げが決定されており、8月19日までの累計利上げ幅は1.75%に達した。

 8月5日に発表された2022年7月の消費者物価指数(CPI、2018年=100)が6.4%となり、前月の6.1%から一段と加速、2カ月連続の6%突破、現行基準(2018年基準)導入後の最高を記録するとともに、2018年10月の6.9%以来、3年9カ月ぶりの高水準に達した。そして、2022年のインフレ目標(消費者物価上昇率2~4%)達成が一段と困難になりつつある。BSPは8月18日に、2022年の年間インフレ率予想をこれまでの5.0%から5.4%へと更に上方修正した。ただし2023年予想についてはこれまでの4.2%から4.0%へと下方修正、2023年予想についても同じく3.3%から3.2%へと下方修正した。

  MBは今回の政策金利の追加引き上げを決定するにあたり、2022年のインフレ率予想が6月23時点から一段と高まり、インフレ圧力の上昇が続く可能性があることを重視した。国際商品市況上昇、国内の魚類等の供給不足、砂糖価格の急騰、公共交通料金値上げの動きなどインフレ圧力要因は多い。したがって、インフレ圧力やインフレ期待を緩和するための利上げを決定した。その一方、金融引き締めによる世界景気の減速や国内での新型コロナ感染再拡大など景気下振れリスクもある。したがって、今回の利上げ幅は、7月14日の緊急利上げ幅0.75%よりは縮小した。

 
 次回のMB政策定例会合は9月22日に開催予定である。9月20日~21日の米国連邦公開市場委員会(FOMC)直後の開催であり、非常に注目される会合となる。BSPは、現在、年8回の金融委員会(MB)政策定例会合を開催している。2022年のMB定期政策会合は、2月17日、3月24日、5月19日、6月23日、8月18日、9月22日、11月17日、12月15日に開催、もしくは開催予定されている。1月、4月、7月、10月は開催されないが、7月は上記のように臨時会合で0.75%の緊急利上げが実施された。